2016 Fiscal Year Annual Research Report
地球流体シミュレーションのための多変量データ可視化手法の開発とその応用
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26700010
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
松岡 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (80543230)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 雲 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気や海洋、固体地球等の大規模数値シミュレーションによって生成される数値データは、データサイズが膨大であるだけでなく、そこに含まれる情報量も膨大であり、解析者が理解するのを困難なものとしている。本研究課題は、大規模シミュレーション結果から有益な情報を効率的に引き出し、効果的に認識するための可視化手法の研究開発および地球科学における実現象への応用を目的としたものである。 平成28年度においては、平成27年度までに開発を行った大気シミュレーションデータからの雲塊の3次元的な抽出・分類・可視化手法を用いて、積乱雲や熱帯低気圧の発達過程における雲と降雨の時間発展の可視化および解析を行った。 積乱雲の発達に関しては、水平解像度3.5kmのNICAMデータ5日分を用い、東南アジア域において積乱雲、積雲、低層雲等の発達に周期的な日変化があること、それらの雲に起因する降雨についても周期的な日変化が見られることを提案手法から示した。また、熱帯低気圧の発達に関しては、同様のモデルのデータ5日分(南アフリカ東沖)を用い、熱帯低気圧の発生期から発達期、最盛期、衰退期に至るまでの過程において、各種類の雲が周期的な日変化を繰り返しながら発達または衰退していく様子、それらのピークは各雲の種類によって時間が異なること、さらに熱帯低気圧は低層雲を巻き込みながら発達し、高層雲を放出しながら衰退していく様子を明らかにすることに成功した。また、雲種毎に異なる色を割り当てることで、時間発展する場において雲塊が特徴をダイナミックに変化させる様子を亜ピーリングに可視化することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度中に行った研究成果を、2本の論文としてまとめた(出版済み1本、アクセプト済み1本)。また、関連研究は、国内学会における1件の表彰を受けた。気象分野における事例研究の成功例として、当該研究が順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに開発した手法を用い、引き続き大気、海洋、固体地球分野における事例研究を行う。特に本研究課題の最終年度となる平成29年度においては、海洋における熱塩循環および固体地球における地震波を対象とした研究を進め、論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
GPU、メモリの購入および計算機アップグレードに係る価格が当初の想定よりも下がったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出力データ(画像データ)のサイズが当初予定よりも増える見込みであるため、当初予定より大容量のハードディスクを平成29年度に購入する計画である。
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