2016 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸生態系における船底防汚塗料の環境動態および生物学的影響に関する研究
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26701008
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大地 まどか 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40447511)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 船底防汚塗料 / 海洋保全 / 海洋生物 / 生物影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、人工化学物質による海洋汚染が世界的に問題となっている。特に、主に海洋環境で船舶や漁網等の防汚塗料として用いられてきた有機スズ化合物は、その強い水生生物への毒性影響から、国際的に使用が規制された。しかしながら、有機スズ化合物は、現在も沿岸海域に残留し、沿岸生態系への影響が懸念されている。最近では、有機スズ化合物の代替品による沿岸域の汚染が報告されているが、その生物影響や沿岸域での挙動については不明な点が多い。本研究では、これまでに確立した生物影響評価手法を有機スズ化合物の代替品に応用するとともに、野外調査により、有機スズ化合物およびその代替品の汚染状況を把握し、両化合物による沿岸生態系の攪乱機構を網羅的に解明することを目的とする。本年度は、生物影響評価を行う際に用いる指標生物の探索を行うとともに、海洋生物を用いて生物影響評価を行った。さらに、沿岸海域で海水・底泥・生物を採取し、それらの試料における船底防汚塗料の濃度を測定した。その結果、使用が禁止された現在でも、有機スズ化合物が海洋環境中に残留していることが明らかになった。また、有機スズ化合物のみならず、その代替品ついても様々な試料における蓄積が確認された。よって、現在、有機スズ化合物および新規防汚塗料の両化合物により、海洋環境が複合的に汚染されていることが明らかになった。本研究で得られた成果については、現在国際誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、これまでに確立した生物影響評価手法を有機スズ代替品に応用するとともに、野外調査により有機スズおよびその代替品の汚染状況を把握し、両化合物による沿岸生態系攪乱機構を網羅的に解明することを目的としており、本年度までに、生物影響評価における指標生物の探索および海洋生物を対象とした生物影響評価の実施、および野外調査における汚染実態について、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した生物影響評価手法を用いて、有機スズおよび新規防汚塗料の生物影響評価を行うとともに、引き続き、日本沿岸域における試料の定期サンプリングを行い、各試料中の両化合物濃度を測定する。
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Causes of Carryover |
天候の変動による生物試料採取の困難の事由が発生したことにより、当初計画していた生物影響評価試験の遂行が難しい状況になった。その後、生物影響評価試験に必要な生物試料が採取できたことにより、予定していた実験を遂行する。
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Research Products
(3 results)