2014 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池用水素と機能性樹脂のコラボ創出を目指したバイオマス全成分利活用法の開発
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26701011
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浅田 元子 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (10580954)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リグノセルロース |
Outline of Annual Research Achievements |
石油代替原料を求める声は石油危機以来高まりながら現在に至る。バイオマス燃料が注目されるのは第二次石油危機以来であり、30年を超えるがエネルギー利用効率的にも、CO2削減効率的にも現実利用に適するだけの研究結果が得られているとは言い難い。本研究ではバイオマスのエネルギー変換についてはエタノール発酵ではなく、酵素を用いないメタン発酵を行う。現在、水素は主に天然ガス中に含まれるメタンの水蒸気改質法により製造されているが、化石資源の枯渇や地球温暖化等の問題を解決するためにはバイオメタンガスを利用した燃料電池用水素の製造が望まれる。本年度はタケの水蒸気爆砕物のメタン発酵について検討し、爆砕物中のセルロースやヘミセルロース由来物質はメタンに変換可能であるが、リグニン由来物質はその難分解性芳香族構造のためにメタン変換することが困難であることを明らかにした。そこで、タケの水蒸気爆砕後に水・アセトン抽出を行い、リグニン由来物質(アセトンで抽出可能)については機能性エポキシ樹脂の原料、抽出残渣(主として爆砕セルロース)についてはメタン発酵原料として利用した。種々の水蒸気爆砕条件での実験結果より、水蒸気圧力35 atm、蒸煮時間5 minの水蒸気爆砕が抽出成分の分離(脱リグニン)のために最適であることがわかった。さらに、その爆砕条件で得られたアセトン抽出リグニンは数平均分子量1,000、重量平均分子量3,000の低分子量リグニンであり、エポキシ樹脂に変換可能であった。また、抽出残渣は脱リグニン化されているため消化汚泥により容易にメタンに変換可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・タケの脱リグニンと有効利用のための最適水蒸気爆砕条件を決定した。 ・最適爆砕条件で得られたアセトン抽出リグニンは数平均分子量1,000、重量平均分子量3,000の低分子量リグニンであり、エポキシ樹脂に変換可能であった。また、抽出残渣(爆砕セルロース)は消化汚泥により容易にメタンに変換された。
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Strategy for Future Research Activity |
・高収率メタン生産のため、水とアセトン抽出により分離した水抽出液および抽出残渣(セルロース成分)を混合し、消化汚泥を用いてメタン発酵の最適条件(汚泥量、混合割合、含水率、温度、pH)を決定する。 ・機能性樹脂製造のために、アセトン抽出により得られた低分子量リグニンをエポキシ反応と硬化反応の両方に用いる。製造段階における触媒、溶媒、反応条件の検討や強化材の混入による高付加価値化を図るとともに、製造樹脂の熱特性、物理特性を石油由来製品と比較評価する。
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Causes of Carryover |
現有物品の使用により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
セルロース成分のメタン発酵およびアセトン可溶性リグニンの機能性樹脂化のための物品費や人件費・謝金、研究発表や研究調査のための旅費に使用する予定である。
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