2015 Fiscal Year Annual Research Report
核四極子共鳴を用いた可搬型不正薬物・偽造医薬品検知装置の開発
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26702007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤羽 英夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (00552077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核四極子共鳴 / NQR / 二重共鳴 / 交差分極 |
Outline of Annual Research Achievements |
微量結晶粉末の物質同定を可能にする高感度核四極子共鳴(NQR)装置を開発することを目的として、NMR-NQR二重共鳴法を用いた高感度技術の研究を行った。磁場下で分極した水素原子核スピンの磁化を窒素原子核スピンに移動させる交差分極法において、その信号強度は磁場強度に比例することが分かっている。そのため、可能な限り高磁場を水素原子核スピンに印加し、NQR検出前に分極させておく必要がある。また、小型可搬型装置の開発を目指していることから、水素原子核分極用の磁場の発生源として2個の小型ネオジウム永久磁石を用いた。2個の磁石を互いに向かい合わせることにより、磁極間距離6.2mmの中央に設置したサンプルに磁場を1Tまで印加することができる構造を開発した。水素原子核スピンの分極を窒素原子核スピンに効率良く移動させるには、サンプルを素早く(水素原子核スピンの縦緩和時間に比べ)ゼロ磁場下に移動させる必要がある。そのため、平成26年度に開発したリニアシャフト・サンプル移動機構の駆動電源回路を新規に設計し、移動時間160ms程度での安定したサンプルの移動を実現した。その結果、二重共鳴法を用いることによりNQR信号強度は、解熱剤であるアセトアミノフェンの場合 7倍、経口糖尿病治療薬であるメタホルミン塩酸塩の場合 17倍、医薬原料であるジエチルアミン塩酸塩の場合9.1倍にそれぞれ増加し、目標としていた100mgグラム以下での検出が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに、研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26-27年度に開発・検証したNQR高感度化技術を備えた小型NQR装置を試作する。その際、磁気回路やFPGA基板を新規に設計したのち、各コンポーネントの配置を最適化する。また、装置の評価には、偽造医薬品の模擬物質として、アセトアミノフェンやメタホルミン塩酸塩を用いる。
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