2016 Fiscal Year Annual Research Report
X線可視化計測と超並列数値流体計算の融合による鳥呼吸器内流体制御機構の統合的解析
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26702012
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中村 匡徳 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20448046)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数値流体計算 / バイオメカニクス / バイオミメティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、鳥呼吸器内気流のシミュレーションを実際の鳥の体腔圧力変動を入れた非定常流計算を行った。しかしながら、この場合、計算結果は質量保存則が満たされず、物理学的におかしい結果であった。その要因を検討したところ、使用している計算手法である格子ボルツマン法において流体の圧力伝播がうまく解けていないためであることが推定された。陽解法である本手法において、本問題を解決するためには、計算時間の刻み幅を小さくすることが最も簡便な解決方法であると判断した。これを達成するためには、計算コードを更に高速化しなければ、現実的な計算時間内で計算が終了しないことがわかった。そこで、MPIを用いて、GPUを並列化することで高速化が図れると考え、計算コードのMPI化を現在進めているところである。一方、鳥の気嚢のモデルと数値流体計算コードとのカップリングは完成した。しかしながら、上記した圧力伝播の問題があり、気嚢が生理学的に妥当は変形挙動を示していなかった。これについては計算コードの高速化問題が解決されれば、自動的に解決されると思われる。 また、動物実験としてウズラの主気管枝および気嚢内の圧力の計測を行った。ウズラに麻酔を投与し、圧力センサを対象箇所に刺入した。それぞれの箇所において計測データは呼吸に伴う変動の様相を呈したものの、主周波数が一定しておらず、計測に不備があるのではないかと推察された。そのため、現在、再計測を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた鳥呼吸器内気流の数値流体計算コードはおおよそ完成したが、気嚢のモデルとのカップリングにより計算が一部発散することが判明した。解決のためには、計算時間ステップを小さくする必要があり、計算コードを更に高速化する必要がある。そこで、研究期間の一部計算コードの高速化に充当する必要があり、その結果として当初計画よりも多少遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、計算コードを複数のGPGPUを用いた並列計算に対応できるよう修正中である。これが完成すれば、鳥呼吸気実形状内の気流を実際に計算する目処が立つ。現在、MPI化は一部を除いておおよそ完成しているので、残りについて対応する。また、完成した計算コードを用いて鳥の肺実形状モデルにおける気流のシミュレーションを行うことにより、鳥呼吸器内の気流制御機構の解明を進める。
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Causes of Carryover |
数値流体計算コードの開発において一部遅滞が発生したため、予定していた実験の一部を実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算コードの開発において、専門家の意見を仰ぐため出張する。また、一部、未実施であった動物実験を行う。
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