2016 Fiscal Year Annual Research Report
うつ徴候および軽度記憶障害を有する高齢者に対する非薬物介入の効果検証
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26702033
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
牧迫 飛雄馬 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 予防老年学研究部, 室長 (70510303)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知科学 / 脳・神経 / 健康科学 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、軽度記憶低下およびうつ徴候の高齢者を対象としたランダム化比較試験(randomized controlled trial: RCT)を実施し、平成27年度から開始している第1クール29名に対する介入終了1年後の追跡評価、第2クール55名に対する介入の実施および介入終了後の事後評価を実施した。 運動による介入群では、週1回90分の集団での運動教室に参加してもらい、6か月間で全20回のプログラムを提供した。菜園・園芸による介入群では、週1回60~90分程度の集団での菜園・園芸作業を中心に行った。菜園・園芸作業は6か月間で18回のプログラムを提供した。対照となる講座群では、6か月間の介入期間中に2回の講座を行った。有害事象の発生が認めなかった。 第2クールとして1,484名の1次スクリーニングから対象者を選定して、最終的に55名が介入研究に参加している。対象者の取り込み基準は、うつ傾向(Geriatric Depression Scaleで5点以上)および軽度記憶問題を有する(主観的な記憶低下の訴えのある者、または記憶検査の結果で年齢階級に比して1.0×標準偏差以上の低下のある者)高齢者とし、潜在的な対象者187名に説明会の案内を送付し、55名が介入研究に参加した。そのうち、54名が6か月の介入事後評価を完遂しており、平成29年度に介入1年後の追跡評価を実施する予定である。研究全体では、2,524名の一次スクリーニングから294名の潜在的対象を抽出し、研究説明会を経て、取り込み基準に該当して同意の得られた89名によるRCTを実施している。 また、本研究のRCTプロトコルを論文として国際誌に投稿し、既に受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度ではおおむね計画とおりに、1次スクリーニングから介入研究の対象者を抽出し、軽度記憶低下およびうつ徴候の高齢者を対象とした非薬物での介入効果検証のための介入研究を開始できており、脱落者も少なく経過している。これらの状況より、本研究課題は概ね計画通りに進展できており、引き続き予定された計画に準じて進行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、第2クールの介入事後調査を完遂した54名における介入終了1年後の追跡評価を計画している。平成27年度に実施した第1クールにおいて、追跡率90%を確保できたため、第2クールにおいても脱落者を極力軽減できるように、同様の手続きで介入を進める。 平成29年8~9月には第2クールの介入終了1年後の追跡評価を完了する予定であり、評価終了後には速やかにデータセットを作成して、介入効果およびその持続効果を検証するための解析作業を始める。平成29年度内に6か月間の介入効果および持続効果を解析した結果をまとめ、公表する。
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Causes of Carryover |
評価やデータ入力が円滑に進み、人件費をおさえることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追跡評価の実施に係る人件費、評価・調査に必要となる消耗品、調査のための旅費として使用する。
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Research Products
(4 results)