2017 Fiscal Year Annual Research Report
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26707002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
權業 善範 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (70634210)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | F-正則多様体 / 対数的ファノ多様体 / 反標準因子 / 有理連結ファイブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は反標準因子の正値性の研究を行った。その結果、Hacon--MckernanのQuestionに肯定的な解答を江尻祥氏との共同研究で得られた。それをまとめたのが論文"Nef anti-canonical divisors and rationally connected fibrations"であり、Arxivに置き、投稿済みである。Hacon--MckernanのQuestionとは反標準因子の飯高次元を極大有理連結ファイブレーションのファイバーの次元で上から抑える不等式である。この論文では、Viewegの弱正値性定理が証明の鍵となる。またこの論文では任意標数上のさらに非特異射についての江尻氏の問題も解決している。正標数上の場合、ここでは、F特異点についての江尻氏の正値性定理を用いた。 また高木俊輔氏と大域的F正則多様体上でのコラーの単射性定理を証明した。 それは論文"Koll\'ar's injectivity theorem for globally F-regular varieties"である。これは当研究目的のglobally F-regular varietyによるlog Fano多様体の特徴づけに役にたつと思われる。
今年度は、モスクワ、北京、台北、イスキア、ソウル、大阪市立大、関西学院大で講演をおこなった。
また錐定理の拡張の研究をおこなったがこちらはまだ進行中である、さらに極小対数的食い違い係数(MLD)のvariantの研究を行ったが、こちらはまだまとめるには至らない。さらに来年度以降そのあたりの研究を深めていきたいと思っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
F正則多様体の単射性定理は、将来的に対数的ファノ多様体の特徴ずけに役にたつ可能性を秘めている。この研究はすでに部分的に得ていたが、今年度完全な満足のいく形で証明することができた。これは大きな進展と言える。また江尻氏との共同研究は当初の予定にはなかったが、反標準因子の飯高予想の類似物的な雰囲気がある。さらにこれは相対標準因子の直像層の正値性が使われており、新しいバージョンの正値性定理を示すことができたので、これは当初の予定より進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
アバンダンス予想の研究はまず極小モデルの存在を証明するという流れになりつつある。そのためにはフリップの停止問題を解決するのが自然である。そのためには代数多様体に対する局所理論と大域理論をつなげる研究が不可欠であると思われる。まずは今年度は特に自分自身へのフリップがおこならないことの証明に挑戦したいと思う。実際これはShokurovの予想たちからフリップ の停止が従う議論から見るとMLDのLSCを解決すれば良いことがわかる。MLDのLSCの解決を視野に入れつつ、フリップの停止によ り近い形で定式化を試み、できればそれを証明する。MLD全体の研究としてはそのMinimizerがどういう幾何学を持っていること かを明らかにすることが解明の鍵となると考える。その点において、一つ確かめたいことがあるので、それを研究しようと思う 。どちらにせよMLDのMinimizerの研究というのは不可欠に思われる。
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Causes of Carryover |
予定していた出張が先送りになったため。
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