2015 Fiscal Year Annual Research Report
人工欠陥導入鉄系超伝導薄膜線材は水素社会の創エネ・蓄エネに貢献するだろうか?
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26709076
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
三浦 正志 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (10402520)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鉄系超伝導体 / 磁束ピンニング点 / 人工欠陥 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、27年度に密度の異なるBaZrO3粒子導入Ba122:P薄膜作製及び特性評価を行いJc向上の指針を得ることを目的として研究を行った。 具体的には、更なる高磁場での高Jcを得るために、焼結体ターゲットに添加するBZOのwt %をこれまで(3 wt%)以上の5から15 wt%とし最適xのBa122:P薄膜中に導入するナノ粒子の密度を制御・導入した。その結果、5 wt%では、BZOが母相の結晶性、組成等に影響し、超伝導特性が低下する傾向を示した。3wt.%で最も高い磁場中特性を示し、15Kにおいて世界最高レベルの特性を得ることに成功した。また、実用上の臨界磁場である不可逆磁場もBZOの密度によって特性がことなり、不可逆磁場と密度の関係も明らかになった。これらに関連した成果として27年度は、2本の論文Nature姉妹論文であるScientific Reports 、低温工学に掲載された。現在、27年度に得られた成果に関して論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績概要に記したように、当初の目的であった密度の異なるBaZrO3粒子導入Ba122:P薄膜作製及び特性評価を行いJc向上の指針の検討において、一定の成果を得ることができた。この成果に関連して、Nature姉妹論文であるScientific Reports (Impact Factor: 5.578)、低温工学に掲載された。平成27年度に得られた成果は、米国で行われた Applied Superconductivity Conferenceや応用物理学会で発表を行う予定である。また、現在、これらの成果を論文としてSuperconductor Science and Technology及びPhysical Review Bに投稿準備中であるため、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下のことを目的に実行する予定である。 (4) サイズの異なるBaMO3ナノ粒子導入Ba122:P薄膜作製及び特性評価 ①理論的には20 K下では磁束サイズは10 nmとなり、15 Kの8 nmより大きくなる。そこでRE123薄膜での知見を元にBaMO3のMをSn, Nbなどで置き換えBMOナノ粒子サイズを制御する。②サイズの異なるBMO導入Ba122:P薄膜の20 Kにおける磁場中Jc及び磁束クリープ特性を評価することで最適BMOサイズを明らかにし、更なる磁場中Jc向上の指針を得る。 (5) 異なるバッファ層/金属基板上のBaMO3ナノ粒子導入Ba122:P線材の作製及び特性評価 ①Ba122:P薄膜と金属基板との間のバッファ層には格子整合性、安定性、熱膨張係数を考慮し材料を選択する。また、これらの違いがBMO導入Ba122:P線材の結晶性等に及ぼす影響を調べる。②異なるバッファ層がBMO導入Ba122:P線材の20 Kにおける磁場中Jc等を評価することで最適バッファ層の材料選択指針を得るとともに磁場中高Jcを有するBa122:P薄膜線材を目指す。
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Causes of Carryover |
27年度に購入予定であった薄膜作製用バイクリスタル単結晶基板を次年度に購入することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
薄膜作製用バイクリスタル単結晶基板等を購入する予定である。
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