2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン修飾を介したTreg誘導機構とIBD治療への展開
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26713026
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
古澤 之裕 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (80632306)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / HDAC / 制御性T細胞 / IBD |
Outline of Annual Research Achievements |
HDACには11種類のアイソザイムが存在し、その構造からクラスI、IIa、IIb、III、IVに分類される。酪酸はこれまでクラスIおよびクラスIIaに対し阻害作用を示すことが報告されている。一方で、HDACアイソザイムリコンビナントタンパクを用いたさらに詳細な阻害活性試験を行った結果、酪酸はクラスIおよびクラスIIaの中でも、特にクラスIに属する特定のHDACアイソザイムに対して選択的阻害活性を示すデータが得られた。そこで、種々のHDACアイソザイムに対する選択的阻害剤を用いてTreg誘導実験を行った。HDACアイソザイムの中には細胞毒性を示して評価できないものがあったが、選択的阻害剤の中には細胞毒性を示さずに、Tregのマスター転写因子であるFoxp3を誘導する作用があることがわかった。Foxp3誘導を示す選択的阻害剤のHDAC阻害スペクトルは、リコンビナントタンパクを用いた阻害試験の結果と類似しており、酪酸が特定のHDACアイソザイムを阻害する事でTreg誘導活性を示したと推測される。一方、興味深い事に、酪酸が活性を阻害しないHDACアイソザイムに対して阻害作用をもつ2つの化合物については、むしろFoxp3誘導を減少させる事がわかった。以上の結果より、HDACアイソザイムにはFoxp3発現を誘導するものと阻害するものとがあり、酪酸はFoxp3発現を阻害するHDACアイソザイムを選択的に抑制する事でTreg誘導活性を示すものと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、無細胞系の実験と選択的阻害剤を用いた細胞系の実験により、当初の目的であるTreg誘導に関与するHDACの絞り込みを行う事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はTreg誘導に関与するHDACの更なる絞り込みを、他の阻害剤と遺伝子操作を組み合わせる事で行っていく予定である。
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Research Products
(5 results)