2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26713053
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
秋山 謙太郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (70423291)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宿主間葉系幹細胞 / 炎症 / 創傷治癒 / 組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は①ホストの間葉系幹細胞を再生局所に集積させる新しい方法の開発に加え,②間葉系幹細胞が本来持つ,この免疫調節機能や炎症再生連関の起始点となるキーファクターを分子生物学的に解明する.その結果,遠隔や局所に存在するホストの幹細胞を集め,免疫反応を調節することにより,適度な炎症環境を誘導し,ひいては組織再生を強力に促進する新しい再生療法の基盤を構築する事である.これを遂行する為以下の研究を行った. (1)マウス大腿骨皮質骨に直径1ミリの骨欠損を作製し,骨欠損作製後1,3,5,7日で宿主幹細胞の動員をフローサイトメトリー解析により検討した.また,骨欠損を作製しない個体をコントロールとし,各群と比較検討した.その結果,骨欠損作製後1日目において,間葉系幹細胞マーカーであるCD146, CD90, Sca-1陽性,Lineage陰性の細胞数(3x10^6個骨髄細胞当たり,2355±141個)がコントロール(1505±80個)と比べ有意に増加し,3日(1658±85個),5日(1450±73個),7日後(1461±115個)ではコントロール群と同レベルまで減少していることが明らかとなった. (2)骨欠損作製後,前述のタイムポイントにて屠殺,骨髄を回収し抗体アレイ法にてサイトカインの発現量を比較した所,骨欠損作製1日後において,炎症性サイトカインであるTNFaの増加を確認した.同時に,抗炎症作用のあるTIMP-1やMCP-1の発現も上昇している事が明らかとなった. これらの結果は,宿主幹細胞の炎症・創傷治癒部位への集積・動員を示す強力な証拠であり,それには各種サイトカインが関与している可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス下顎骨欠損モデルの作製は順調であり,骨欠損の前後もしくは経時的に骨欠損部位を含む再生組織の回収が可能であった.しかしながら回収後のタンパク,RNA,集積幹細胞が解析するには十分な獲得量に至らず,何度か繰り返したが,マウス下顎骨欠損モデルよりも骨髄間葉系幹細胞が豊富で集積宿主幹細胞の解析が行いやすい大腿骨骨欠損モデルでの解析を行うように修正したため予定よりも遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
前述の研究目的のうち,宿主幹細胞集積因子を同定し,新規組織再生療法を開発する為,骨欠損作製後,宿主幹細胞の集積が見られた1日目において屠殺,骨髄を回収し,マイクロアレイ解析,サイトカインアレイ解析等の網羅的解析を骨欠損作製前と比較する事で幹細胞集積因子の候補を検討する. また,得られた候補因子の間葉系幹細胞への影響をin vitroにて検討し幹細胞機能の評価を多分化能,細胞増殖,免疫抑制作用の観点から解析する. 一方で,集積した間葉系幹細胞を回収し,骨欠損作製前の骨髄由来幹細胞と比較して同様の手法を用いて集積幹細胞の性質を比較検討する事で集積した幹細胞に発現する因子を同定し,組織再生の際の発現遺伝子群を検討する.
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Research Products
(1 results)