2016 Fiscal Year Research-status Report
競合比を用いたオンライン・バッファ管理問題の解析に関する研究
Project/Area Number |
26730008
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
小林 浩二 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 外来研究員 (00547391)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | バッファ管理 / インターネット / オンライン問題 / 競合比解析 / アルゴリズム / スイッチ / ルータ |
Outline of Annual Research Achievements |
インターネット上のアプリケーションに対して理論的に品質保証を実現する手段として、現実に起こる事象をオンライン問題と呼ばれる問題として定式化した上で、その問題に対するアルゴリズムを設計し、最悪値(競合比)を用いてそのアルゴリズムの性能を評価する研究が盛んに行われている。本研究は、その様なオンライン問題の中において最も重要な問題群であるバッファ管理問題について、(a)新たな問題の定式化(問題の作成)とそれに対するアルゴリズムの設計と性能評価、(b) 2つの主要な未解決問題(AzarとRichterによって2003年に提案された(b-1)優先度総量最大化問題と、2001年にKesselmanらによって提案された(b-2)期限付バッファ管理問題)に対するアルゴリズムの設計と性能評価、の2点に取り組むことを目的としており、それぞれについて平成28年度の成果報告を行う。 (a) 前年度までに計画した目標を達成し、その研究を終えている。 (b) 2つの未解決問題(b-1)と(b-2)に対して独自の解析手法を適用し、より制限された各問題に対するアルゴリズムの設計と性能評価を試みた。その結果、(b-1)について既存のアルゴリズムよりも優れた性能を発揮するアルゴリズムの設計・解析に成功した。この成果について査読付き学術雑誌への投稿を行い、現在審査が行われている。(b-2)については引き続き解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では平成28年度までに全ての計画を終える予定であり、(a)新しいバッファ管理問題の設計・修正と(b)2つの既存の未解決問題の解決、の2点について主に取り組む予定であった。(a)については、「研究実績の概要」で述べた通り、前年度までに計画した研究を終えている。(b)については、上述の通り、2つの問題の一方については計画に沿った成果を得ており、その内容について論文誌に投稿中である。残りの1つの問題については進展はあったものの、前年度の夏季に他の研究チームによって新しい研究成果が発表されており、その新しい成果を反映して計画を立て直し、当初の研究計画を変更せざるを得なかった。そのため、研究の達成度を下方修正している。 1つの未解決問題に関する研究以外は全ての研究を計画通りに進め、ほぼ研究を終えている。しかし、その1つの未解決問題に関する研究計画の突発的な変更によって生じた遅延を考慮に入れ、やや遅れていると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の平成28年度の研究計画は、(x)新しいバッファ管理問題に対するアルゴリズムの設計と解析、(y)既存の2つの未解決問題に取り組むことであった。(x)については前年度までに計画していた内容を終えている。また、(y)については2つのうち1つの未解決問題の研究をほぼ終えているため、残りの1つの問題に対象を絞って研究を進めていく。具体的にはアルゴリズムの設計・解析を行う。その際、前年度に他の研究チームによって発表された研究成果を踏まえつつ、最初から最適な性能のアルゴリズムの設計を目指すのではなく、まずは既存のアルゴリズムよりも優れた性能のアルゴリズムの設計を目指すなど、段階的に問題の解決を図る。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額として残った経費は、共同研究者との打ち合わせのために用いる旅費と研究成果の発表のための旅費(兼学会参加費)として使用することを計画していた。共同研究者との日程の調整が付かなかった為、打ち合わせを次年度に繰り越すこととなった。また、研究計画の変更に伴い、成果発表を先送りした。その結果として、経費の繰越が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由に記載したとおり、共同研究者との打ち合わせと成果発表を行う際の旅費としての使用を計画している。
|