2015 Fiscal Year Annual Research Report
書籍のアクセシビリティ向上のための対話とルールに関する研究
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26730165
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
青木 千帆子 静岡県立大学, 国際関係学部, 客員共同研究員 (00584062)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子書籍 / アクセシビリティ / 著作権 / 障害者差別解消法 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子書籍のアクセシビリティに関する国際的文脈における議論は、EPUB3の標準化から、標準規格の普及へと位相が変わった。 また、電子書籍のアクセシビリティに関する国内の状況をみると、2015年に販売され、売り上げランキング上位を占める電子書籍の9割が、アクセシビリティ対応可能なフォーマットで販売されていることが明らかになった。また、電子書籍のフォーマットに関する情報をストアが掲載し始めたことに加え、試し読みを可能にするサービスを提供するストアが増えたことにより、対応しているアクセシビリティ機能を購入前に判断できるようになった。 一方、電子書籍を閲覧するビューアーに関しては、音声読み上げ機能に関する対応について前進が見られないままであった。そこで、出版社、ビューアー開発者、電子書籍ストア、読書障害者とが相互に議論した結果、ビューアーに実装が求められる最優先項目として、以下の9点が導きだれた。1.文字サイズを調整することができる、2.文字や背景の色を選択することができる、3.輝度を調整できる、4.音声読み上げ機能を有効化できる、5.音声読み上げ機能を用いて、ストアに行き本を購入することができる、6.音声読み上げ機能を用いて、書棚を開き、書籍を選択できる、7.音声読み上げ機能を用いて、表示されている順序で読むことができる、8.音声読み上げ機能を用いて、文字ごとに読み進めることができる、9.指定した箇所から、音声読み上げ機能を用いて読み進めることができる 電子書籍のアクセシビリティについては、著作権法と障害者差別解消法が多く参照される。それにより、電子書籍のアクセシビリティがどのように枠づけられ、再帰的に構成されていくのかが影響されている。例えば、著作権法を参照する場合、アクセシビリティを支えるビジネスモデルの確立に向けた語りが棄却され、福祉的取り組みであるとする語りが補強される。
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Remarks |
新聞での紹介 前田智,20160509,「読書難しい人への“合理的配慮” 図書館でじわり広がる」朝日新聞5月9日朝刊 http://www.asahi.com/articles/ASJ592VX4J59UBQU005.html
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Research Products
(7 results)