2014 Fiscal Year Research-status Report
自動車起源の微量有害成分-ニトロフェノール類の測定法確立と排出実態分析への応用
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26740027
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Research Institution | National Traffic Safety and Environment Laboratory |
Principal Investigator |
小鹿 健一郎 独立行政法人交通安全環境研究所, その他部局等, 研究員 (50597482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニトロフェノール類 / 内分泌撹乱物質 / 自動車排出ガス / GC-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、最新規制対応車両からも正確な測定が行えるようにニトロフェノール類の計測手法を検討した。ニトロフェノール類はGC-MSを用いた高感度の直接測定が困難であったため、シリルエーテル化試薬を用いて誘導体化することにより高感度での測定に成功した。このとき、投入するシリルエーテル化試薬の当量および反応時間について検討を行った。また、排出ガスに含まれる固体成分、気体成分の捕集剤として、フィルターおよび合成吸着剤をそれぞれ選択し、ニトロフェノール類を含むジクロロメタンを添加し、高速抽出機をもちいた際の抽出条件(抽出溶媒、抽出温度、抽出時間等)について検討を行った。続いてエバポレーターを使った抽出液の濃縮条件についても検討を行った。本研究で対象としたニトロフェノール類の中では、オルトニトロフェノールが最も揮発性が高く、ジクロロメタン溶液の濃縮中に一部が気化していることが判明したため、本オルトニトロフェノールが、揮発しない温和な条件を模索した。重水素化ピレンおよび重水素化フルオレンをそれぞれサロゲート物質、内標準物質として①抽出、②濃縮、③誘導体化反応、④GC-MS測定を行った時のニトロフェノール類の総合収率は9割以上であり、収率高く定量できる手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は当初、計測手法の検討に加えて、実際の車両から排出されるガスに含まれる誘導体化反応の阻害成分についても検討を行う予定であったがそこまで進捗しなかった。本手法では、フィルターや合成吸着剤といった捕集剤に排出ガスに含まれるニトロフェノール類を吸着させて採取し、有機溶媒により抽出を行っているが、抽出に使用している高速抽出装置が不調をきたし、その修理に時間を要した(修理部品が国内に無く海外から調達したため)。これにより、4ヶ月程度研究計画が後ろ倒しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はまず、実際の車両から排出されるガスに含まれる誘導体化反応の阻害成分についても検討を行う。その後、再現性の高い走行試験が実施可能であるシャシダイナモメーターをもちいて、実車両の走行試験を行い、排出ガスをサンプリングし、その排出ガスに含まれるニトロフェノール類の量を明らかにする。効率的に試験条件を設定することで、少ない試験回数で有益なデータが得られるように試験計画を立案する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、抽出機の修理に4ヶ月程度要したため、実験計画が遅れたためである。シャシダイナモメーターを用いた車両試験の実施を想定して積算されていた人件費および学会発表を前提として積算していた旅費が使用されなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シャシダイナモメーターを用いた車両試験および学会発表は27年度中に実施する予定である。
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