2015 Fiscal Year Research-status Report
農地計画的手法によるエネルギーの地産地消型地域の提案に関する研究
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26740053
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
森本 英嗣 長野大学, 環境ツーリズム学部, 助教 (00632598)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマス / ヤナギ / 小規模農地 / 遊休地 / 経済性 / 作業投入量 / エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,小規模農地でのヤナギ生産における作業投入量ならびに経済性を明らかにした。 まずは,新たな農地活用方法に向けたエネルギー作物であるヤナギの生産方法,とりわけ1 ha未満の小規模農地での収穫プロセスを実験的に提示した。遊休地や耕作放棄地は,小面積,急傾斜,日当たり不良など条件不利な地域に多く,大型機械の導入が比較的困難な地域に及んでいる。それを鑑みれば,本稿は,従来から所有している機械設備あるいは比較的導入が容易な小型機械(本稿では小型破砕機)での作業の実施可能性を示唆したといえる。ただし,収穫作業量(人工)の課題も示された。現時点ではチップの運搬方法については検証していないため,今後は総合的な収穫プロセスの提案へと展開していく必要がある。 次に,経済性について,農地の生産能力の保持を前提に,同じく小規模な遊休農地でのヤナギの試験栽培を通して,それに掛かった積算費用についてまとめた。費用の試算結果ならびにこれと慣行農業の生産費との比較結果より,現段階における生産方法では,自作と作業委託の場合で約27,000~65,000円/10 aの欠損が生じ,経済的な優位性は確認できなかった。特に収穫費用は主な費用のひとつであり,森林バイオマス同様,伐採,収集,運搬等の費用をどれだけ抑えるかが今後の課題といえる。ヤナギは粗放的な栽培が可能であり,食用や観賞用等の農作物ほどの維持管理工程はさほど必要ではなく,なるべく作業委託を要しないことでさらなる費用抑制につながる。また,既存研究を含め単位面積当たりの生産量に大きな差は確認されず,生産量やヤナギの生存率が維持管理の頻度や植栽密度に関係している可能性も示唆したが,これについては今後の検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エネルギーの需給モデルに必要な作業投入量や経済性に関する基礎情報を整備することができた。需給モデルの構築には入ったが,未だ完成には至っていない。 当初は,宮城県川崎町を拠点にアンケート調査を実施する計画であったが,現地での承認を得ることが難しく,実施に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
エネルギーの需給モデルの基礎情報整備を終え,需給モデルの構築段階であり,来年度初旬において完成を予定している。その後シナリオ設計・分析に入る。 エネルギー需給を考える際の住民へのアンケート実施は,現在赴任している長野県上田市での実施に変更する。 さらに土地利用計画の提案についても,農地計画図の取得の問題から,上田市内の特定地域を選定しそこでの議論を実施する。
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Causes of Carryover |
国際会議での研究報告ができなかったことにより,次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は,出席参加予定の国際会議にSociety of Engineering & Technology, Computer, Basic & Applied Sciencesを加える。 また,最終年度ということもあり,農地復旧作業が必要となるため,作業に必要な物品(機材),学生アルバイト雇用,資材の廃棄処理などにより物品費,謝金,その他費用等の支出を計画している。
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Research Products
(2 results)