2014 Fiscal Year Research-status Report
多要素判定による歩行時におけるスマートフォンの操作防止システムの設計・開発
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26750003
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
張 ジョ 工学院大学, 情報工学部, 講師 (90458993)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ながら歩き / 歩きスマホ / アプリケーション開発 / 加速度 / 顔認識 / カスケード分類器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は現在社会問題となっている「ながら歩き」に対して、ユーザ使用時の加速度、顔・視線の向き、GPSによる移動速度算出など多要素を取り入れ、先行研究で用いられた単要素で区分できない振動を判別できる高精度な防止アプリケーション開発を目的としている。そのため、第一段階として、各単要素を測定・分析し、それらの可用性を検討した上、其々を用いて検出システムの開発を行い、第二段階は、利用できる各単要素の特性を統合し、多要素を用いる高精度な検出システムを開発する。平成26年度は、第一段階を中心に研究・開発を行った。 1.平地、電車、階段、エスカレーター、動く歩道など各状況下で、非歩行時と歩行時、及びユーザの無意識な動作の加速度データを分析し、振幅の判別閾値及び最適の判定時間範囲を明らかにした。開発したアプリケーションを用いて各環境下で実験を行った結果、約98%の正解率を得られた。 2.速度が不安定している時や、移動速度が極めて遅い時に加速度のみで判別しづらいため、インカメラを利用して、ユーザの顔の向き及び目の形状で注視の検出を試みた。顔の向きに関しては、主に個人差問題を対応するために開発を行った。結果、約96%の正解率を得られた。一方、目の判別に対する試行錯誤の結果、学習型のカスケード分類器を用いて判別することが可能であるが、大量な学習データが必要であるため、リアルタイムの判別に適用されにくいと分かった。 3.GPSによる移動速度の算出は、階段など垂直移動の状況下で利用しづらいが、他要素で判別しづらい自転車移動・小幅の歩き方に対応できたため、補足判別要素として可用性があると分かった。但し、一定的な時間の遅延と誤差があるため、今後多要素を組み合わせる時に、適切な判別時間に対して、さらに検討する必要がある。 以上のように、各単要素を用いて防止アプリケーションを作成し、可用性と役割を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の各年度の目標として、平成26年度は、歩行検出に利用できると考えられる各単要素を測定・分析し、それぞれを用いて検出システムの開発を行い、実験によってそれらの可用性を検討し、27年度は、実質上利用可能な各単要素の特性に基づき、統合的なアルゴリズムを考案し、多要素を用いる高精度な検出システムを開発することである。 よって、平成26年度は主に各単要素に対して、検出・判別アプリケーションの開発を行った。成果としては、加速度ベースのAndroid/IOSシステム用の検出アプリケーション、IOSシステム用の顔向き認識アプリケーション及び目の検出アプリケーション、合計4つのアプリケーションを作成し、端末に実装した。 また、実装しアプリを用いて各利用環境下で実験を行った結果、1.加速度と顔向き認識において、単要素でも高い正解率、低い誤認識率を得られた。2.目の検出は可能であるが、リアルタイムの判別に適用しづらいと分かった。3.GPSによる移動速度の算出は、一定的な状況下で、有効的な判別補助手法として利用できると、単要素それぞれの特性と有用性を検証し、本来の目的を達成した。 予定より進展している部分は、現段階で既に各単要素の特徴に基づき、統合的なアルゴリズムを考案し、試作を行っているところである。一方、GPSによる移動速度計算の判別時間にに関しては、本来のデータ性質上に遅延があるため、他要素とあわせて検討しなければならない。未検討の部分は27年度の統合開発計画に結合し、現在多要素の検出閾値を分析しながら、適切な移動速度判別時間を検討している。 以上で、全体的に本来の計画に沿って、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の目標は、実質上利用可能な各単要素の特性に基づき、統合的なアルゴリズムを考案し、多要素を用いる高精度な検出システムを開発することである。 現段階では、加速度をベースに、移動速度と顔向き認識の要素を取り入れるフローを確立した。今後の推進計画としては、1.加速度によって誤検出に繋がる各状況の閾値を算出し、補助判別要素を起動するベースのイベントを確立する。 2.GPSデータ取得上の遅延問題に対して、他要素の最適判別時間(現在1秒毎で5秒の連続判定によって最終判定を行っている)に合わせて処理を試みる。 3.警告アラームの提示方法、カメラの起動問題、端末画面の輝度自動調整問題をさらに検討し、統合的なアプリケーションを作成する。 4.検証実験を行い、アプリケーションの改善を行う。 また、最終的に、アプリケーションのフリーアプリとして公開することを目指す。
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