2015 Fiscal Year Research-status Report
防護服着用時の動作性を評価できる標準テスト方法の提案
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26750016
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
Son Suyoung 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 研究員 (30723902)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 防護服 / 動作性 / 標準テスト方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
防護服を着用し、作業及び活動を行う場合、個人装備着用は必須であるが、防護服より個人装備が持つ重量の方が着用者に負荷をかけることが報告されている。そうして、平成27年度には個人装備特に、空気呼吸器の重量とデザイン違いによる動作性の差を検討することにした。 着用者の動作性を検討するため、テスト方法として防護服着用時の関節可動域、運動能力、バランス能力を測定した。重量とデザインに差がある4種類の防護服と空気呼吸器の組み合わせで上記のテストを行った結果、空気呼吸器の装着することで肩関節と体幹の可動域が有意に低下した。しかし、空気呼吸器の重量差とデザイン差によっては有意差が見られず、重量とデザイン違いによる関節可動域差の検証ができなかった。運動能力テストにおいては、踏み台昇降運動とくるりとまたぎ動作時にデザイン差による有意なパフォマンス低下は見られなかったが、空気呼吸器の重量によるパフォマンス低下が明らかになった。バランステストとしては、機能性バランステストと重心動揺テストを行った。バランステストの結果でも、呼吸器の重量が重くなることによるバランス能力の低下は見られたが、デザイン差による有意な変化は認められなかった。しかし、各テスト後に行った動作性と動きの快適性に関する主観評価の結果では、重量においてもデザインにおいても着用者はその違いを感じることが明らかになった。 この結果は、アジア防護服学会などで成果発表を行い、現在原著論文として国際雑誌に投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、様々な防護服着用による動作性を検討し、防護服着用時の動作性を評価できる基準値を含む標準評価テスト方法を提案することを目的とする。そのため各種防護服着用時の動作性を検討し、防護服の重量やデザイン等の衣服要素の差異と被験者の運動能力水準による動作性変化を調べ、その基準を作成計画が立てられている。また、異なる作業現場の環境温度による動作性変化を測定し、環境温度が動作性に及ぼす影響の検討も予定されている。しかし、計画した人工気候室実験においては被験者募集及びスケジュール調整の件もあり、研究機関の倫理審査を通さなければならない。さらに、被験者の安全を確保しながら実験を行わなければならない。そのため、平成27年度冬季に予定した異なる作業現場の環境温度による動作性変化を測定する被験者実験がまだ行われているが、今年度の秋までの終了を目安にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる作業現場の環境温度による動作性変化を測定する被験者実験を終了し、環境温度が動作性に及ぼす影響を検討する。その後、平成26年と27年の実験結果をまとめ、動作性標準評価基準を提案する。たとえ、コントロースに比べ、防護服フル装備装着の重量と被験者の心拍数変化の相関関係やデザインと素材による主観評価等を総合的に考慮した評価基準を作成し規格として発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
被験者実験の予定が伸びたことが原因であると考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年に行う追加実験の消耗品購入と研究成果発表の英文校正および旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)