2015 Fiscal Year Research-status Report
小学校理科を対象とした教員養成ブレンド型学習カリキュラムの構築
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26750064
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
平中 宏典 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (10613531)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小学校教員養成 / 理科教員養成 / ブレンド型学習 / 模擬授業 / 支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,状況が変化し続ける東日本大震災の復興地域を支える小学校教員に必要とされる,理科授業の実践力と系統的な知識・技能習得を促すためのカリキュラム構築と支援webシステム(LMS:Learning Management System)の構築を目的としている。 今年度は,平成26年度より試行的に運用していたLMSを本格運用に切替え,(1) ブレンド型学習プログラムの効果を検証するための基礎データを収集・整理,(2) 教科科目との連携機能強化,(3) 授業組立・教材研究支援のDB拡充,の3点を推進した。 (1) については,受講者に対する事後紙面調査を実施し,LMSによるグループワーク(模擬授業)支援機能の有効性を明らかにできた。同時にチームとしての学びが成立しにくかった少数ケースにおける課題も明らかとなり,改善に向けたデータを得ることができた。また,各受講者の理科指導への自信の変化では,チームによる一連の授業づくり経験が自己課題を明確化し,具体的な目標を持てたことが自信につながっていると読み取れた。今後,理科の指導力を高めていくために必要と強く感じる要素としては,理科の教材に関する知識・技能,子どもの学習観等に関する知識の修得を挙げており,教科科目とのさらなる連携のあり方に関する基礎的データ得ることができた。 (2)については,教材研究の要素を取り入れたアクティブ・ラーニング型プログラムを教科科目において新たに開発し実施した。文献調査,実験・観察結果の共有などをLMS上で行えるようwebシステムを拡充しその試行的運用の中で基礎データの収集を進めた。 (3)については,学習指導案作成における単元計画・授業展開の作成画面等におけるアドバイス機能の拡充,立案時に参考となる学習指導案のライブラリ化を行うなど,受講者が必要とする知識基盤DBの充実をはかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り,前年度のLMS試行運用において課題となった,LMSの機能に関する問題点やニーズを基にした改良を行い,指導法科目にLMSを活用したブレンド型学習プログラムを本格導入することができた。また,目標としていた教科科目との連携についても試行的運用により問題点の把握などを行うことができた。おおむね計画通りに進展しているものと判断した。カリキュラム構築についても,今後の分析に必要なデータを取得し,基本的な分析を実施することができたことから,こちらも計画通りに進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,今年度LMSにて取得した受講者の作成物データ,システム活用状況および紙面調査の結果をもとに,開発したカリキュラム及びLMSの効果について詳細な検討を実施し,ブレンド型学習プログラムとしての効果を検証する。検証にあたっては,テキストデータを中心とした解析の実施を予定している。なお,カリキュラム実施にあたっては,今年度課題となった点をLMSと合わせ修正を進めていく。 LMSシステムの拡充の観点では,貸出可能な測定器具等のDB化をおおむね完了したことから指導法科目および教科科目での実践を念頭に置いて機能を追加するとともに,東日本大震災の復興地域における実践を意識したライブラリの充実を推進する。
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Causes of Carryover |
システム開発当初,webのユーザーインターフェイス設計・実装を一部外部委託する予定であったが,技術的な問題が解決したことにより委託を取りやめたことが主たる理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学習者の成果物をデジタルポートフォリオとして蓄積・活用をはかるため,紙面等での制作物をデジタル化するためのスキャナや,模擬授業のビデオ撮影自動化などに必要な機器の購入に充てる。 また,支援システム上に集積したデータの利活用を推進するため,一部データへのタグ付けなどを実施するため,人件費・謝金に充てる。
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