2015 Fiscal Year Research-status Report
教師のメンタルヘルス増進を意図した有効な運動条件の確立のための前向き縦断研究
Project/Area Number |
26750243
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西田 順一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (20389373)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 学校教員 / メンタルヘルス / 運動 / 身体活動量 / 前向き縦断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
最新の統計から、学校教員の病気休職者のうち60.4%(5,078人)は精神疾患によるもので、平成19年度以降5,000人前後と高水準で推移している。このような状況にて、教師のメンタルヘルスの悪化をもたらしている教育現場の諸要因を解明し、考察を加えた先行研究は多いが、その改善策を実証した研究は乏しい。 本研究は近年の教員にみられるメンタルヘルスの悪化を改善するためのセルフケアの手段として最適な運動条件を明らかにする基礎研究(平成22-23年度)を発展させ、メンタルヘルス増進のための運動条件を明らかにする前向き縦断研究を行い、教師のメンタルヘルス改善に向けた有効な運動実施に関する知見を得ることを目的としている。具体的には、学校現場や教師の理解や協力を得た上で、信頼性や妥当性が保証された調査票により、運動量や精神的健康状態、さらには関連要因に関して継続的に捉え検証する。 2年目は、運動・身体活動の心理的効果に関する最新の知見を得るため、日本体育学会第66回大会および日本スポーツ心理学会第42回大会等に参加し、また学校教員の身体活動とメンタルヘルスとの関連性を詳細に把握するための効果指標や研究デザインなどの情報を収集するため、第70回日本体力医学会等に参加し、関連資料の収集を積極的に実施した。これらを通じ研究者との議論を重ね、今後の研究の方法論を探れた。また、専門的文献の収集により、相応しい研究や解析方法を理解できた。さらに、H27年度教員免許状更新講習にて、本テーマに基づく内容を具体的な解説を行い、現場教員に研究のフィードバックを遂行でき、以降の調査に向けた協力体制を築くことができた。それらを経て、パイロット・スタディのデータ等を吟味した後、大規模なサンプルに対する前向き縦断調査を開始するに至った。従来は進められていない調査方法を用いたことで、貴重なデータを収集できたものと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施により、まずメンタルヘルス研究の最新の動向や研究方法等の情報を収集することができた。また本研究に相応しい効果測定指標を抽出でき、加えて研究デザインを確立することができた。さらに、調査実施体制を確立でき、前向き縦断調査の内容を具体化するに至り、実際に大規模サンプルに対する縦断調査を開始することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ、学校教員を対象としたメンタルヘルスに関する前向き縦断調査を継続的に実施する。また、ここまでに収集したデータの整理や統計解析等を行い、研究成果としてまとめ、学会にて発表し研究者からの参考意見を得る。加えて、本年度の教員免許状更新講習において、現場教員に情報提供する。さらに、今後、学会等への学術論文として発表できるよう投稿の準備を進める。
|
Causes of Carryover |
学内担当業務と日程が重複したため、予定していた国外学会での研究発表には至らず、また国内の学会参加しかかなわなかったことから、国外旅費に掛かる経費が次年度分に生じた。さらには、縦断調査が完遂しなかったため、調査対象者への謝金の支払いを済ますことができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後はできる限り日程調整を行い、国内外の学会発表を行い、経費を使用する予定である。さらに縦断調査の終了した対象者に速やかに謝金の支払いを終える予定である。
|