2016 Fiscal Year Research-status Report
教師のメンタルヘルス増進を意図した有効な運動条件の確立のための前向き縦断研究
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26750243
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西田 順一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (20389373)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学校教員 / メンタルヘルス / 運動 / 身体活動量 / 前向き縦断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済協力開発機構(OECD)の調査にて、労働時間等が公表され、諸外国と比較してわが国の教員における多忙な労働環境が浮き彫りとなった。また、文部科学省による精神疾患者に関する統計(H26年度)より教員の病気休職者は5,009名であると示され、平成19年度以降、高水準で推移している。このような状況下にて、教師のメンタルヘルス悪化の改善策に焦点を当て実証した研究は乏しい。 本研究は教員のメンタルヘルスの悪化に歯止めをかけ、改善を図るための‘最適な運動条件を明らかにする基礎研究(平成22―23年度)’を発展させ、メンタルヘルス増進のための運動条件を明らかにする前向き縦断研究を行い、教師のメンタルヘルス改善に向けた有効な運動方略に関する知見を提示することを目的としている。具体的には、学校現場や教師の理解・協力を得つつ、信頼性や妥当性の保証された質問紙にて、運動量や精神的健康状態、さらには関連要因について継続的な検証を試みている。 研究期間3年目では、ここまで実施してきた継続調査について日本体育学会第67回大会にて研究発表を実施し、同領域の研究者と議論を行なった。加えて、運動やスポーツの心理的効果に関する最新の知見を得るため、国内外の専門的文献や関連資料の収集を積極的に行った。さらにH28年度群馬大学教育学部にて開講された教員免許状更新講習にて、本科研テーマに基づく研究成果の一部の具体的な解説を行い、現場教員に研究成果をフィードバックできた。あわせて、次年度以降の継続調査に向けての協力体制を築くことができた。これらより、昨年度と同様、学校教員を対象とした前向き縦断調査を実施できた。従来の研究では進められていない調査方法を用いた研究により、貴重なデータを収集できたと考えている。今後は収集データを確認し、同時に解析、考察を深め、国外の学会発表や国内の学術雑誌への報告を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は、運動とメンタルヘルス研究の知見や研究方法等の情報を収集でき、さらに妥当な効果測定指標等を抽出し研究デザインを確立することができた。本年度は、これまでの取組を踏まえ、同時に調査対象者からの協力や支援が得られ、前向き縦断調査を実施するに至った。加えて、本年度は調査により得られたデータの統計解析等を行い、種々の結果をまとめ、国外の学会大会にて公表する予定としていた。しかし、重要な学内業務と学会大会の日程が重複していたため、国際学会への参加を断念せざるを得なかった。さらに今年度末に自身に勤務先の異動が生じたため、諸手続に時間を要し、本研究のまとめの時間にあてることが困難となった。これらの理由から、研究期間の延長を申し入れ、承認された。したがって次年度は国外の学会大会における成果発表や研究のまとめ、研究論文の執筆を重点的に行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の研究実績等を考慮し、今後は、ここまでに収集した学校教員を対象としたメンタルヘルスと身体活動・運動に関する前向き縦断調査の複数のデータについてまとめの作業を重点的に行う。具体的にはデータの整理や入力作業、そして統計解析等を行い、得られた結果に対して考察を試みる。さらに、国際学会にて研究発表を行い、国内外の研究者から幅広くコメントを得る。加えてここまでの研究の総括を行い、本研究の制限や今後の課題を整理する。最後に、ここまで収集したすべての情報を精査し、学術論文として公表するための論文の執筆を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は調査により得られたデータの統計解析等を行い、結果をまとめ、国外および国内の学会大会にて公表する予定としていた。しかし、重要な学内業務と学会大会の日程が重複していたため、国際学会および国内学会への参加を断念せざるを得なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、これまでの調査より得られた結果を国内外の専門的学会にて公表する予定としている。とくに国際学会での研究成果の発表に掛かる費用を中心として使用予定である。
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Research Products
(1 results)