2015 Fiscal Year Research-status Report
体育科における社会的態度育成の可能性に関する実証的研究
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26750250
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大津 展子 茨城大学, 教育学部, 講師 (30648241)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スポーツ教育モデル / 社会性 / 体育授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,1)スポーツ教育モデルを基に,我が国の体育授業において,小・中・高校の発達段階を考慮し規範や社会的な態度の育成に焦点を当てた授業を実践する。2)組織的観察法を用いて社会的な態度を表出している子どもたちの授業中の行動を評価し,授業中の社会的な行動とこれらの行動に対する子どもたちの意識の変化を分析する。3)体育授業を通じて社会的な行動を定着させ,継続して社会的な態度や意識を変容させることで,体育授業以外での子どもたちの社会的な態度の育成がどのように促されるか検討する。4)また,その発達段階による差異や特徴についても検討することとしている。 2年目である本年は,「体育授業における社会的な態度の育成に関する学習形態・教材・学習指導方略・教師行動(特にフィードバック)の継時的取り組み」というテーマで,初年度の検証結果をふまえ,1単元から実施期間を延ばし,1学期間あるいは1年間の様々な単元領域を通じての変容とその移行について,小(中高学年)・中・高校で1単元実施と同様に検証する。さらに,1学期間あるいは1年間を通して複数単元行うため,それらの教材によっての差異と教師のフィードバックが学習者に与える影響も教師の逐語記録と学習者の形成的授業評価の関係から検証する予定であった。 残念ながら高等学校での1単元実施はできなかったが,中学校にてスポーツ教育モデルを適用させたベースボール型授業を実施することができた。この実証結果は平成28年度中に学会発表し,論文にまとめて投稿していく。さらに,表現運動系及びダンスの授業において,教師の指導言語の逐語記録から,教師間の差を分析した結果,その内容と回数が学習者の成果や評価に影響していることが明らかにできたので,この結果もまとめて論文にしていきたい。また,初年度平成26年度に国際学会にて発表した内容を論文にまとめ,投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の予定は,初年度の検証結果をふまえ,1単元から実施期間を延ばし,1学期間あるいは1年間の様々な単元領域を通じての変容とその移行について,小(中高学年)・中・高校で1単元実施と同様に検証する。さらに,1学期間あるいは1年間を通して複数単元行うため,それらの教材によっての差異と教師のフィードバックが学習者に与える影響も教師の逐語記録と学習者の形成的授業評価の関係から検証することであった。 高校での実験単元を行うことはできなかったが,中学校にてスポーツ教育モデルを適用したベースボール型授業を単元で行い,データ収集することができた。また,初年度26年度に国際学会で発表した内容を投稿し,現在掲載待ちである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度3年目である平成28年度は,「体育授業における社会的な態度育成に関する学習形態・教材・学習指導方略・教師行動(特にフィードバック)が学習者の体育授業外での社会的な態度に及ぼす影響」をテーマとし,学習者が社会的な態度を体育授業を通して身につけ,それを体育授業外につなげるために,効果的な(必要な)学習形態・学習指導方略・教師のフィードバックを明らかにする。また,体育授業外での社会的な態度育成にも有効な社会的な態度育成可能な体育授業の発達段階による差異や特徴についても検討する予定である。すでに,教師のフィードバックなどのデータ収集とその入力・分析はほぼ完了しており,あとはまとめるだけの状態にある。体育授業内で学習したことが,クラスでの活動や家庭などでも活かすことができているかについては,追跡アンケートを考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度に予定されてるヨーロッパでの国際学会への参加やアメリカ合衆国での情報収集に多くの旅費がかかることが予想されるため。さらに,情報収集や検証授業でのデータ入力のための人件費も増える予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・国際学会参加(台湾など) ・アメリカ合衆国での情報収集 ・検証授業の交通費と人件費
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