2014 Fiscal Year Research-status Report
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26750304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北岡 祐 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (30726914)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6マウスを実験動物として用いた2週間の持久性トレーニング、およびSprague-Dawleyラットを用いた4週間の筋力トレーニングによって、ミトコンドリア新生のマスター遺伝子として知られるPGC-1alphaの発現が有意に増加することを確認した。筋力トレーニングでは、ミトコンドリアの量自体には変化がみられなかったものの、ミトコンドリアの融合に関わるタンパク質の発現が有意に増加した。ミトコンドリアの形態異常が加齢による筋機能の低下をもたらす可能性が近年示唆されていることから、筋力トレーニングの有効性の新たな一面が明らかとなった。また、一過性の温熱刺激によってもPGC-1alphaの発現が有意に増加することが確認されたことから、運動によるPGC-1alphaの増加をもたらす要因の1つが熱ストレスである可能性が示唆された。一方で、2週間の不活動によりPGC-1alphaの発現は有意に減少することを確認した。 さらに、マグネットビーズを用いた最新の手法により、これまで用いてきたPercoll gradientを用いて超遠心する手法よりもさらに不純物の混入の少ないミトコンドリアをマウス骨格筋サンプルより単離することに成功した。これまで行われてきた多くの研究結果は、単離したミトコンドリア分画に混入した細胞質等の影響を受けていた可能性がある。今後は、この単離したサンプルを用いて、運動による骨格筋ミトコンドリアの機能面の変化の解析を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスおよびラットを実験動物として用い、実験を順調に進めている。いくつかの運動モデルおよび不活動モデルを用いてPGC-1alphaの発現変化に関する結果を得ることができ、来年度の研究に必要なサンプルおよびデータを取ることができたと考えている。また、4週間の筋力トレーニング実験で得られた研究結果はすでに論文にまとめ、現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで進めてきたPGC-1alphaの発現変化に関するデータを元に、今後はこの遺伝子のメチル化をもたらすことが知られているタンパク質の発現変化との関連性について研究を進めていきたいと考えている。また、運動や不活動による骨格筋ミトコンドリアの変化は、単純な量の増減だけではなく、その形態の変化も重要である可能性を示唆するデータも得られてきている。単離したミトコンドリアサンプルを用い、形態面の変化についても分析を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度に行った実験に必要であった消耗品は十分に購入することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に採取した実験サンプルの解析、および今年度新たに行う実験に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)