2014 Fiscal Year Research-status Report
ポリエーテル骨格構築酵素群の精密機能解析と分子変換反応への展開
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26750361
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南 篤志 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40507191)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | polyether / biosynthesis / epoxidase / epoxide hydrolase |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリエーテル型天然物とは、テトラヒドロフランやテトラヒドロピランが複数連結したポリエーテル骨格を有する天然物の総称であり、イオノフォア活性、イオンチャネル阻害活性、抗腫瘍性など多様な生理活性を示す。特徴的なポリエーテル骨格は、エポキシ化酵素(EPX)による立体選択的エポキシ化とエポキシド加水分解酵素(EH)による位置選択的なカスケード型環化反応により構築される。本研究課題では、これら2種類の鍵酵素の機能を制御して分子変換反応に応用することを目指して研究を推進している。本年度は、①EPXによる立体選択的エポキシ化反応の反応制機構の解明と②EHの機能解析に成功した。以下、その概略を示す。
① ラサロシドの生合成遺伝子クラスター中に見いだされたEPXを研究対象として選択し、エポキシ化反応の立体選択性を調べた。具体的には、①2重結合周辺の置換基と幾何異性を系統的に改変したアナログ体の合成、②微生物変換反応により生成したエポキシドのキラルGCカラムでの分析、から各基質に対するエポキシ化の立体選択性を明らかにした。本結果から、EPXによる立体選択的エポキシ化反応を合理的に説明しうる基質結合モデルを提唱するに至った。
② EHによる環化反応の解析では、前駆体の部分構造を模倣したアナログ体の利用が効果的である。そこで、適切な化学構造をもつ分子を設計・合成し、EHによるカスケード型環化反応を分割(単純化)して解析することにした。その結果、サリノマイシン生合成において6-endo環化反応を担うEHの同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基質アナログの系統的な構造改変による立体選択的エポキシ化反応の解析については、当初の予定通りに進行した。提唱した基質結合モデルは、EPXによる反応制御機構を説明しうる合理的な仮説であると考えている。また、EHの機能解析についてもほぼ計画に沿って進めることができている。以上のことから、本研究は概ね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、「酵素機能の系統的な解析」と「ポリエーテル化合物の酵素合成」を検討する。具体的には、既に確立した実権系を応用してモネンシン・サリノマイシンなどの類縁化合物の生合成に関与するEPXとEHの機能を解析する。また、上述した実験で解明したEPXとEHの選択性を踏まえ、合成可能な標的分子を設定してEPXとEHによる酵素反応を検討する。
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Causes of Carryover |
年度末に購入を予定した消耗品の納期が不確定であり、購入を次年度に持ち越すことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(直接経費の3%分)については、昨年度末から不足している消耗品の購入に充てる。次年度予算については、当初の計画通りに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)