2014 Fiscal Year Research-status Report
中国古代から中古に至までの身体観および生命観の変遷
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26770019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 睦美 東北大学, 文学研究科, 助教 (10722845)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中国思想 / 養生思想 / 老子注釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国の古代から中古に至るまでの期間において、人間の身体および生命に関し、同時代の人々の間でいかなる観念が共有され、また時代とともにどのように変遷したのかという事について考察を行うものである。初年度においては、主に比較的入手の容易な資料の収集と考察を行った。先秦諸子、漢代、魏晋時代の資料の中から、各時代の生命観・身体観を考察する材料となると思われる資料を収集した。その際、「気」「神」「形(体)」「生」「性」「養生」等いくつかのキーワードに注目して資料をピックアップし、それぞれの意味内容を文脈に即して解釈・分析し、それらの資料について整理を行った。 また、もう一つの研究課題である『老子』河上公の思想的な位置づけに関する分析に関連し、唐代における『老子』注釈書である、『唐玄宗御注道徳真経』(以下『御注』)および『唐玄宗御製道徳真経疏』(以下『御疏』)分析が一定の重要性を持つのではないかと考え、検討を行った。『御注』・『御疏』には「沖気」という語が使用されているのだが、先行研究では、両書の思想的な特徴を指摘する場合、もっぱら「妙本」という語に注目して分析が行われていた。しかしその「妙本」について正しく理解するためには「沖気」について適切に理解することが不可欠であり、その「沖気」の位置づけを明らかにすることによって、御注・御疏の『老子』の「道」に対する観念の全体を把握することが出来ることを明らかにした。こうした考察により、それ以前の『老子』注釈書における「沖気」の用例との差異が次第に明らかになり、河上公注を含む『老子』注釈史について考える材料を得ただけでなく、本研究の主眼である生命観・身体観の研究にとっても重要な“道の体得”ということを考える上で重要な足がかりを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定したように、本年度は本研究に関連すると思われる資料の網羅的収集と分析、整理を行った。その進捗はおおむね順調であり、大きな遅延はない。平成26年度中は東北大学助教任期の最終年度に当たり、業務上の理由から、学外および国外の資料の収集に関してはやや時間的制約があったため、国外資料の収集については27年度に行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、26年度に行うことの出来なかった学外および海外資料の収集を行うとともに、26年度中に収集・分析した内容と合わせ、中国の古代から中古時期に至るまでの生命観・身体観の思想的変遷、その諸相についてまとめる予定である。その際、研究の推進の過程で着目するに至った唐代の資料に関しても利用するつもりである。 また、もうひとつの課題である『老子』の河上公注の思想史的位置づけについても考察を行い、合わせて研究の総括を行う。
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Causes of Carryover |
東北大学の助教の任期最終年度に当たっていたため、業務上の理由により時間的制約があり、当初予定していた学外・国外資料の収集を次年度に行うこととしたという理由で、旅費、資料調査に必要な機材購入費用、複写費用、郵便費用などを使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学外・海外の資料調査に必要な旅費・機材購入費・複写・郵便費に使用し、また必要書籍の購入費に当てる予定である。
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Research Products
(2 results)