2015 Fiscal Year Research-status Report
ウォルター・スコット及びジェイムズ・ホッグの作品における妖精表象の実態と近代
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26770099
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
吉野 由起 三重大学, 人文学部, 准教授 (90707291)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ロマン派期イギリス文学 / ロマン派期ヨーロッパのフォーク・リヴァイヴァル / スコットランド文学・文化 / ウォルター・スコット / ジェイムズ・ホッグ / 妖精譚 / 叙事詩 / 神話創造 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究期間の2年目に当たる本年度は、前年度に重点をおいたウォルター・スコットの作品研究成果を論文にまとめる作業と並行し、ジェイムズ・ホッグに関連する資料収集・読解分析を行い、途中経過を学会で発表した。夏季に渡英し資料収集を行う予定であったが、スコットに関する論文執筆に専心する必要に加え、7月と9月に国内での学会口頭発表の依頼があり、準備のため次年度に延期した。成果は下記の通りである。
(1)スコットの物語詩の叙事詩性に関する論文(「Walter Scott, The Lay of the Last Minstrel (1805)の叙事詩性と物語空間」)を完成、2016年4月初旬に査読付学術誌に投稿し現在審査中 (2)ホッグの叙事詩に関して日本カレドニア学会研究会で口頭発表(抄録は同学会Newsletter54号に掲載)(3)ディケンズとサッカレーによる妖精譚について日本イギリス児童文学会中部支部例会で口頭発表(抄録は2016年5月刊行予定)(4)スティーヴンソンの怪奇小説「死体泥棒」の翻訳を校了、同作品の解題と、作者スティーヴンソンの年譜執筆に携わった。2016年5月刊行予定。
その他本研究の成果と関連し次の活動を行った:(5)2015年度三重大学人文学部オープンキャンパス「資料展示 旅を巡る英米文学・ドイツ文学」企画、参加(8月) (6) 招待講演「旅を巡るイギリス文学」(放送大学三重学習センター公開講演、於 放送大学三重学習センター、12月) (7)司会:2015年イギリス・ロマン派学会大会で、ワーズワスとバーンズに関する研究発表(木村俊幸氏)の司会(於奈良教育大学、10月)(8)司会: 2015年日本カレドニア学会全国大会で、ジョージ・マクドナルドに関する研究発表(長田惠子氏)の司会(於 キャンパスプラザ京都、10月)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年間で目標とした論文3篇(スコットについて1篇、ホッグについて1篇、両者を比較した論文を1篇)の執筆投稿のうち、スコットに関する1篇を完成、投稿完了した。ホッグに関する1篇は構想・核心の一部を学会で発表完了し、論文は2016年10月の完成を目指しており順調に進行している。以上2篇に関しては、当初目標とした完成時期から半年から一年遅れたが、1篇は投稿完了、もう1篇は着実に進んでいるため、やや遅れてはいるものの、遅れは取り戻しつつあると判断している。
スコットとホッグの妖精譚を比較した1篇は、対象とする作品の選定と読解分析、引用部抜書き等がほぼ完了しており、構想とアウトラインが固まっている。当初の目標どおり、2017年3月完成と投稿を目指す。
なお、当初設定した論文執筆目標には遅れは生じたものの、本研究に間接的に関連する成果(ヴィクトリア朝期イギリスにおける妖精譚(ディケンズ、サッカレー)に関する口頭発表と、スコットランドを舞台とする怪奇小説(ロバート・ルイス・スティーヴンソン)の翻訳、解題、作者年譜)を出すことができ、本研究の成果を活用するとともに本研究における考察を深めることができた。関連学会で司会を2件依頼され、関心の近い研究者との意見交換も進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
8月までにホッグに関する論文をほぼ仕上げる。9月に渡英し、スコットランド国立図書館、大英図書館、オクスフォード大学ボドリアン図書館で資料収集を行う。10月にホッグに関する論文を完成、査読付き学会誌に投稿する。その後スコットとホッグ両者による「妖精の起源論」および、両者による作品での妖精の造型・用法を比較した論文の執筆を進め、3月に完成させ、査読付き学会誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
夏季に予定していたイギリスでの資料収集を次年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度夏季に、当初の目的どおり、イギリスで資料収集を行う(スコットランド国立図書館、大英図書館、オクスフォード大学ボドリアン図書館)。
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Research Products
(8 results)