2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Border-crossing and Collectivity in Late-Modernist Literature and Culture
Project/Area Number |
26770107
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
秦 邦生 青山学院大学, 文学部, 准教授 (00459306)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | モダニズム / 後期モダニズム / ユートピア / ディストピア / ノスタルジア / アダプテーション / 後期帝国主義 / 初期冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1930年代の英文学を中心に「後期モダニズム」の概念を多角的に検討することで、従来の文学史・文化史観を「後期帝国主義」の文脈から修正することを目的とするものである。この研究計画の4年目にあたる2017年度では、昨年度から掲載が確定していた(1)ジョージ・オーウェルの『1984年』に見られる後期モダニズムについての英語論文、(2)デイヴィッド・リーン監督の映画『オリバー・ツイスト』に関する日本語論文を活字化し、それに加えて、(3)冷戦期のスパイ小説に見られる後期モダニズムとミドルブラウ文学との交錯に関する日本語論文をあらたに執筆し、論集『英国ミドルブラウ文化研究の挑戦』(2018年3月刊)において活字化した。 また、口頭発表では以前から資料収集を進めていたアルフレッド・ヒッチコック監督の映画『間諜最後の日』に関する発表(2017年12月)のほかに、2017年夏にはオランダ・アムステルダムにおいて開催されたモダニズム研究の国際学会に参加し、「戦後モダニズム」概念をめぐるセミナーにおける他の研究者たちとの議論に参加することで、多くのあらたな知見を得ることができた。 研究機関全体を通じて実施した研究の成果としては、(1)特にオーウェルの代表作ならびにスパイ小説・映画の分析を通じて、後期モダニズム概念と「後期帝国主義」の交錯のみならず、初期冷戦期の時代状況との関連づけを行えたこと、(2)文学作品のみならず、ディケンズやサマセット・モーム作品の映像化の分析を通じて、後期モダニズム期における文学文化と映像文化との交錯の事例研究を行ったこと、(3)この時期におけるノスタルジア的情動や、ヴィクトリア調的過去の再利用などの研究を通じて、後期モダニズム文化における時間性の複雑さを明示できたことが、大きな成果であり、次の研究プロジェクトの構想にもにつながった点である。
|
Research Products
(4 results)