2014 Fiscal Year Research-status Report
ワーキングメモリ容量が第二言語フィラーギャップ文処理過程に与える影響
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26770197
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
中西 弘 東北学院大学, 文学部, 准教授 (10582918)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ワーキングメモリ / リーディングスパンテスト / フィラ―ギャップ文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本人英語学習者のワーキングメモリ(WM)容量とフィラ―ギャップ文処理の関係を調査する前に、WM容量の測定方法として一般的に用いられている、リーディングスパンテスト(RST)に関する研究を行った(神戸大学横川教授との共同研究)。 Nakanishi&Yokokawa(2011)の枠組みを踏襲し、様々な課題を組み込んだ4種類のRST(①通常版、 ②日本語訳妥当性判断課題を加えたもの、 ③文法性判断課題を加えたもの、 ④意味性判断課題を加えたもの)を作成した。さらに、文末単語の親密度を操作し(高親密度条件、低親密度条件)、語彙アクセスの自動化とワーキングメモリの効率性の関連について調査した。なお、平均1文全体の平均音節数・文末平均音節数において、8条件の間で有意差が無いように調整した。 日本人英語学習者36名を対象に、8種類のRSTと英語習熟度を測定する課題(Oxford Quick Placement Test)を実施した。 RST成績に関する主な結果は、RSTの種類において主効果が見られた(再生スコア F (3, 288) = 6.14, p <.01; 処理スコア F (2, 216) = 65.12, p < .01;エラーフリースコア F (2, 216) = 14.34, p <.01)。また、親密度においても、主効果が見られた(再生スコア F (1, 288) = 20.18, p <.01;処理スコア F (1, 216) = 16.11, p <.01.; エラーフリースコア F (1, 216) = 16.43, p <.01.)また、Nakanishi &Yokokawa(2011)同様に、全ての指標において、③文法性判断課題を含むRST成績が最も低いことが明らかになった。今後、更なる分析(親密度別・習熟度別)を、進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
語彙親密度を考慮に入れたリーディングスパンテストに関する実験計画、刺激文の作成、実験実施、分析まで、予定通り行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
語彙親密度を考慮に入れたリーディングスパンテスト(RST)に関する更なる分析を進めたうえで、ワーキングメモリ(WM)容量とフィラ―ギャップ(FG)文処理の関係について調査する。 日本人英語学習者40名(予定)に対して、多動性の異なる20個の動詞(Traxler,2005等)を用いた文産出課題を課し、その結果から多動性の高い動詞と低い動詞に分類する。その後、1)RST、2) FG文処理課題、を課す。FG文課題例:a)多動性高・意味適格文:The woman knew which window the boy broke yesterday. b)多動性高・意味不適格文:The woman knew which baby the boy broke yesterday. c)多動性低・意味適格文 :The woman knew which pencil the boy hid yesterday. d)多動性低・意味不適格文:The woman knew which pencil the boy walked yesterday. FG文は1語ずつコンピュータ上に呈示され、実験参加者のペースで読み進められる。実験参加者は、1文を読み終えた後にその文が意味的に正しいかどうかを判断し、指定のキーを押すように指示される。WM容量とFG文課題成績(正解率・読み時間・領域毎の読み時間)との関係を調査する。
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