2018 Fiscal Year Annual Research Report
Knowledge dissemination from the agricultural experiment station of South Manchuria railways to Asia: Impact analysis based on donated and requisitioned materials
Project/Area Number |
26770246
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
湯川 真樹江 学習院大学, 付置研究所, 研究員 (20709000)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 戦後日本 / 興農合作社 / 記憶 / 植民地統治 / 開発と侵略 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、論文の執筆を集中的に行い、以下の2つの論文を作成した。①湯川真樹江「「満洲国」における興農合作社の組織化と水稲奨励品種の普及」『中国研究月報』73巻6号(刊行予定)、2019年。②湯川真樹江「満洲興農合作社同人会の活動からみる戦前の表象と語りの特徴―恩給請願運動に着目して」佐藤量、菅野智博、湯川真樹江編『戦後日本の満洲記憶』東方書店、2019年秋刊行予定。 ①の論文は、これまで集めてきた雑誌『興農』の分析を重点的に行い、満洲国において興農合作社の業務が如何に農村に展開し、水稲品種の普及指導が行われていったのかを明らかにした。②の論文は、興農合作社の職員として勤務した経験のある人々が、戦後日本に引揚げ、どのように過去を表象していったのかを明らかにした。本論文を執筆するにあたって、これまで聞き取りを行ってきた興農会の清田氏へのインタビュー内容などが反映されている。 報告者は、②の著書の編者として、他論文の編集作業も行った(他論文の著者の多くは「満洲の記憶」研究会のメンバーである)。報告者はこれまで、「満洲の記憶」研究会の活動に積極的に参加し、様々な引揚者に対して聞き取りを行ってきた。研究会のメンバーとともに様々な側面から分析した結果、引揚者の満洲経験は、戦後日本の開発面のみならず、戦前の歴史の表象にも大きくかかわっていたということが明らかとなった。 また、冬には香港中文大学中国服務中心や台湾の中央研究院近代史研究所档案館にて史料調査を行った。その成果は「中国国民党政権による満洲国立農事試験場の接収と技術者の留用に関する一考察」と題した論文で、現在、国内学術雑誌に投稿中である。
|