2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the limitation of dismissal and the range of authority of courts in case of insolvency of the enterprises
Project/Area Number |
26780033
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
戸谷 義治 琉球大学, 法文学部, 准教授 (10643281)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会法学 / 労働法学 / 倒産労働法 / フランス法 / 解雇 / 再建計画 / 商事裁判所 / 労働審判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の最終年度となる今年度は、長期にわたってフランスにおいて調査を行う機会を得た。 フランスにおいては、パスカル・ロキエック・パリ第十大学教授やクリスティン・ルティエック・パリ控訴院判事らの協力を得て、倒産事案における人員整理のあり方のほか、未払賃金の立て替え払いなど広く倒産労働法に関する情報を収集することができた。文献調査や研究者への聞き取り等を通じた理論面のことはもとより、現地において実務を見聞することを通じて、特に基本的に職業裁判官が配置されていない商事裁判所や労働審判所の判断が上級裁判所で職業裁判官によって構成される控訴院のそれと相違することが少なくなく(少なくとも控訴院判事の立場から見た場合において、商事裁判所であれば商人間の慣習が優先される、労働審判所であればそのときの労働者側・使用者側という選出母体の違いが結論に一定の影響を与えるなど)、このことが控訴院に上訴される事案を複雑化させている場面を観察することができた。 また、日本法に関しても、企業倒産時における労働者(集団)と債権者を中心とする他の利害集団との調整等について昨年度の学会報告をもとに、論文を執筆した。この中で、倒産裁判所の人員整理に関する判断が解雇事件裁判所を拘束し得ないことについて一定程度基礎づけられた。学会報告・論文執筆を通じて、再建型倒産の場面における人員整理の法理を明らかにするには、今回のテーマである解雇後の裁判所の権限について検討するだけではなく、再建計画細工政段階における利害調整のあり方が重要であることが明確となり、次年度(平成29年度)以降の研究につながる成果が得られた。 これら研究の成果については、平成29年度以降においても公表の予定であるが、その一部は上記論文の外、東アジア法哲学会において、「倒産企業の人員整理における労働法と倒産法」とのテーマで報告することができた。
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Research Products
(5 results)