2015 Fiscal Year Research-status Report
国外所得免除方式の導入が多国籍企業の経済活動に与えた影響
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26780172
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
長谷川 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50722542)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際課税 / 国際的二重課税 / 全世界所得課税方式 / 外国税額控除方式 / 国外所得免除方式 / 多国籍企業 / 利益還流 / 還流税 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は2009年度税制改正において、外国子会社配当益金不算入制度を導入し、日本企業が海外子会社から受け取る配当を一定の条件の下で非課税(益金不算入)とした。その結果、日本の法人所得に関する国際課税制度は、それまでの外国税額控除方式から国外所得免除方式へと移行した。
平成27年度は昨年度に引き続き、この制度改正が海外子会社から日本の親会社への配当送金行動に与えた影響を分析し、最新の結果をもとに、昨年度作成した論文“The Effect of Moving to a Territorial Tax System on Profit Repatriation: Evidence from Japan”を改訂した。そして政策研究大学院大学のディスカッション・ペーパーとして、論文を公開した。さらに、この論文を国際学術誌に投稿した。現在、学術誌からの要求に応じて再投稿するために、論文を改訂しようとしている。
上記の研究と並行して、国際課税制度(国際的二重課税の調整方式)が多国籍企業の経済活動(海外直接投資、利益還流、海外合併・買収、本社の海外移転、所得移転)に与える影響について分析した実証研究のサーベイを行った。その上で、先行研究から得られた知見をもとに、日本の外国子会社配当益金不算入制度の政策的評価について考察した。そしてその結果を「国際課税制度が多国籍企業の経済活動に与える影響」という題目のサーベイ論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、本プロジェクトで作成した二本の論文“The Effect of Moving to a Territorial Tax System on Profit Repatriation: Evidence from Japan”と“Investor Valuations of Japan’s Adoption of a Territorial Tax Regime: Quantifying the Direct and Competitive Effects of International Tax Reform”を改訂の上、国際学術誌に投稿した。さらにサーベイ論文「国際課税制度が多国籍企業の経済活動に与える影響」を作成した。研究成果が複数の論文にまとめられ、学術誌への掲載に向けてプロジェクトが進みつつある。したがって、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
国際学術誌からの要求に応じて、再投稿に向けて上記の論文を改訂する。そして本年度中に論文を再投稿する。また、外国子会社配当益金不算入制度が日本の多国籍企業の海外直接投資に与えた影響についても分析を行い、論文を作成することを目指す。
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Causes of Carryover |
28年度に旅費・物品費などの経費が計画よりも増えることが見込まれたため、27年度は当該助成金の利用額を減らしたから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費、物品費、英文校正費などを賄うために使用する。
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Research Products
(4 results)