2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26780179
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
陣内 悠介 国際大学, 国際関係学研究科, 講師 (20723456)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教育制度 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、米国で導入が進む初等教育の制度改革を分析対象としている。今年度はとくに、米国で広く普及した学校選択制度(チャータースクール制度)に焦点を当て、学校間競争が生徒の学力に及ぼす影響について分析を進めた。学校選択制度の導入によって、生徒は学区に関わらず入学する学校(公立校)を選べるようになるが、これは学校側の視点からは他校との競争(新入生および予算獲得)が促進されることにつながる。このような学校選択制度が、公立校の間に競争を生み、そのことによって各学校の教育水準が向上すると期待されているものの、既存研究の結果は必ずしも正の効果を示しておらず、逆に教育の低下につながったと結論付けるものもあり、経済学者の間でも意見が分かれている。 本研究では、従来の論文が学校間競争を学校単位で定義していたのに対し、まずは学年単位で競争を再定義した。これは米国の小中学校では必ずしも学年が統一されていないことに着目したものであり、そのことによって、同じ学校の生徒であっても、在籍している学年によって、他校に転出できる生徒とできない生徒が存在することを区別することができた。その結果、従来の研究では、競争効果を過小評価していたと示すことができ、これまで考えられていたよりも大きな正の効果があり、競争が学力向上につながっていると推定した。分析には生徒レベルの精緻なパネルデータを利用しており、本研究から得られる知見は、日本の学校選択制度を議論する上でも参考になるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会報告、論文推敲、学術誌掲載と、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、学校間の競争効果として推定されたもののうち、どの程度が同級生の転出入による効果によるものなのかを分析する。また、学校選択制度と同様に導入が広がっている、成果主義報酬制度の分析も進めていく。
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Causes of Carryover |
リサーチ・アシスタントを採用しなかったこと等により、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は主に、学会報告、英文校正、論文投稿等に研究費を使用する。
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