2014 Fiscal Year Research-status Report
グローバルインバランス及び過剰流動性の調整と国際金融システムの安定化
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26780186
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 周吾 山口大学, 経済学部, 准教授 (70593599)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ネットワーク効果 / グローバルインバランス / グローバル流動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では研究課題「グローバルインバランス及び過剰流動性の調整と国際金融システムの安定化」を遂行するための具体的な分析手法について、各種の先行研究の文献を読みながら考察した。同時に、実証分析をおこなうため、入手可能なデータに制約があるために、この制約も考慮して具体的に実証分析の分析手法について検討した。 その結果、国際金融機関の相互の貸し借りというネットワークを通じたクロスボーダーの資本フローの増幅効果を検証するためには、空間計量経済学を考慮したパネル分析の手法が最も適していることがわかった。また、データの入手可能性も調査した結果、どの国がどの国にどれだけお金を貸したかを表す”spatial weights matrix”も存在していることが確認された。よって、本研究を遂行するための条件が整っていることが確認された。 次に、空間計量経済学を考慮したパネル分析の手法を習得するために、各種の文献を購入して基本と応用について知識の補充を時間をかけてじっくりとおこなった。 最後に、年度の後半において試験的にデータを収集して空間経済計量学を考慮したパネル分析を実際におこなった。空間計量経済学ではある説明変数の被説明変数に対する効果を直接効果と間接効果に分解しており、間接効果はネットワークを通じた増幅効果を表している。そして、間接効果が有意に存在していることが確認されて、確かにネットワークを通じた国際資本移動の増幅効果の存在を実証した。 今後は、実証結果をより精査に検証して分析結果の頑健性を高めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題を遂行するためにどのような実証分析の手法が最も適しているかを考察するのに時間を費やしてしまった。また、空間計量経済学の手法を習得するのにも時間を費やしてしまった。そのために、実際に実証分析を開始する時期がやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では空間計量経済学を考慮したパネル分析の手法を用いて、数多くの実証分析をおこない、実証結果の精度や頑健性を高めていきたい。さらに、年度の後半に実証結果がまとまれば、それをまとめて国内外の学会・研究会で報告をおこない、ブラシュアップされたものを海外の査読付き雑誌に投稿していきたい。
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Causes of Carryover |
前年度では実証分析の成果をディスカッションペーパーや論文という形式でまとめることができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
先述したように国内外の学会への出張費、ディスカッションペーパーの英文校閲費用、海外の査読付き学術雑誌の投稿費として使用する予定である。
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