2017 Fiscal Year Annual Research Report
Accounting studies based on identity and agency theory
Project/Area Number |
26780260
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若林 利明 早稲田大学, 商学学術院, 助教 (80705666)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 行動契約理論 / 報酬契約 / インフルエンスコスト / 認知バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度までの研究成果を発展させ,固定給契約がインセンティブ契約に勝るかを認知バイアスとインフルエンスコストの観点から考察した。 本研究は,行動契約理論のモデルを援用し,プリンシパルが行動に関する具体的な目標(インプット目標)を設定するような状況に1期間シングルタスクのLENモデルを拡張したもとで,固定給契約がインセンティブ契約ないし業績連動型報酬契約より望ましい場合がありうるかを検討した。また本研究では,業界平均や自身の信念から乖離するインセンティブ係数を提示することに対してプリンシパルがコストを感じることも仮定する。分析の結果,以下の諸点が明らかになった。 まず,業界平均や自身の信念から乖離するインセンティブ係数を提示することに対してプリンシパルがコストを感じないとき(ベンチマーク)および認知バイアスによってプリンシパルがコストを感じるときには,インセンティブ契約が固定給契約より望ましいことを示した。次に,エイジェントのインフルエンス活動によってプリンシパルがコストを感じるとき,プリンシパルにとって固定給契約の方がインセンティブ契約より望ましい場合が存在することを示した。具体的に,ベンチマークにおけるインセンティブ係数よりも業界平均や自身の信念が高すぎるときには固定給契約の方が望ましくなる場合があることを示した。 今後の課題は,マルチタスクや多期間のモデルに展開していくこと,そして本稿の結果を実験やアーカイバルデータを用いて実証することである。
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