2015 Fiscal Year Research-status Report
高齢期ワーク・ライフ・バランスの研究―簡易版生活時間調査の開発による実態把握
Project/Area Number |
26780284
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
渡邉 大輔 成蹊大学, 文学部, 准教授 (20629761)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 高齢期 / 生活時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査計画の2年度目にあたる本年度は、昨年度におこなった国内外の最新の知見を踏まえ、生活時間分析とWLB調査の具体的な分析手法について再検討した。具体的には、国内の生活時間調査である「社会生活基本調査」の分析手法について様々な角度からその手法を確認した。 具体的には、社会生活時間調査の分析において、系列データ分析 sequence analysis と呼ばれる手法がどの程度有効な分析手法であるかについて検討した。国際会議、国内研究会等での報告をへて専門家からのコメントを受け、その有効性を確認した。とくに系列データ分析では、時間の連なりを系列とみなし、その系列に一定の加工(挿入、削除、置換)を行うことで他の系列との一致度を測り類型化するが、その加工におけるコストの見積もりにおけるアルゴリズム選定について中心的に検討し、ダイナミックハミング距離(DHD)をもちいたアルゴリズムが適している可能性があることを、「社会生活基本調査」の分析を通して確認した。 また、より新しい手法として、1人の2つの系列(生活時間の連なりと、その同時行動者の連なり)を分析する手法について確認した。高齢期における行動を考えると、一人で行う行動と他者とおこなう行動にはとくに余暇において大きな意味の異なりがあることがわかっていることから、このような手法の適用を行うことでより質の高い知見をえられることが判明した。 これらの知見を踏まえ、初年度にあたる昨年度に作成した調査票の修正を行い、最終年度にあたる3年度目におこなう予定の本調査の実施のための体制を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、簡易版生活時間調査の質問票を開発し、他の属性を含めたWEB調査をおこない、高齢期の日常生活のパタンの類型化を試みること、さらに類型化したパタンを他の変数を分析することで、高齢期のWLBの実態とそのメカニズムの解明を行うことにある。 2年度目にあたる本年度では、新しい分析手法の適用可能性について再検討した結果、昨年度に開発した簡易版の生活時間調査の質問票では想定していなかった、他者との行動状況(その行動が一人か、それとも家族や友人等とおこなったものか)を総合的に分析することができることが明らかとなった。しかしこのための調査票の再検討が必要となり、2年度目におこなう予定であった本調査をおこなえなかった。調査票の修正はほぼ完了していることから、最終年度にあたる3年度の前期に実査をおこない、高齢期の日常生活のパタンの類型化を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる3年度目は、前期に本調査(モニタを対象としたWEB調査)を行い、すぐに分析、論文執筆に取り掛かる。後期にはアメリカ老年学会での報告を行い専門家からのレビューを受けるとともに、査読論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、3年計画の2年目にあたる本年度に本調査(モニタへのWEB調査)を計画していたが、調査票の見直しの必要性が生じたため、次年度に行うこととなった。そのため、その調査資金を確保するために来年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度にあたる2016年度に本調査(モニタを対象としたWEB調査)を実施し、2年度の未使用分を合算して実施する。また、後期に国際学会発表(アメリカ老年学会)を予定しており、この経費については計画通り執行する。
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Research Products
(11 results)