2014 Fiscal Year Research-status Report
〈慰安婦問題〉構築過程と日本人「慰安婦」の不可視化に関する研究
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26780299
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Research Institution | Institute on Social Theory and Dynamics |
Principal Investigator |
木下 直子 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, その他部局等, 研究員 (70719319)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慰安婦問題 / 日本人「慰安婦」 / 社会問題 / ジェンダー / ナショナリズム / 朝鮮人強制連行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「〈慰安婦問題〉構築過程と日本人「慰安婦」の不可視化に関する研究」は、いわゆる〈慰安婦問題〉において、なぜ日本人「慰安婦」の被害が不可視化されたかを分析した博士論文を発展させるものである。博士論文では、1970年代以降のフェミニズム運動と1990年代初期の「慰安婦」問題解決運動等の資料の言説分析をおこない、日本人「慰安婦」が被害者総体から排除されていく言説作用について研究した。 本研究では、分析対象に新左翼運動と戦後補償運動などの言説を加える。日本の「加害」を告発するそれらの運動は、1990年頃に〈慰安婦問題〉の社会問題化をもたらした運動の歴史観などに影響している。加害国の「国民」である日本人「慰安婦」の経験を「被害」と意味づけないナショナリズムの作用について、ジェンダーの視点を踏まえて考察することが本研究の目的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階で予定していた作業に関して、おおむね順調に実施できたため。新左翼運動の資料、また〈朝鮮人強制連行〉を問題化してきた書籍について、一定程度の読み込みをおこなっている。さらに、第18回世界社会学会議で予定通り英語発表をおこなった。 主に次年度の作業として予定していた韓国の運動関係者へのインタビュー調査と資料調査にも着手しており、着実に研究を進めているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
新左翼運動の資料、〈朝鮮人強制連行〉関連書籍の読み込みをさらに進め、韓国の資料調査を継続し、韓国の運動関係者へのインタビュー調査を適宜実施する。また、申請段階で計画していた1970年代以降のフェミニズム運動の関係者へのインタビュー調査を実施する予定である。 平成27年8月にはインドネシアで開催されるinter-asia cultural studies societyの国際会議とソウルで開催されるワークショップにて研究報告する。 これらの作業に取り組み、最終年度に研究成果をまとめた書籍を刊行できるよう、執筆活動に力を入れる。
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Research Products
(6 results)