2016 Fiscal Year Research-status Report
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26780305
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 佐千恵 (福島佐千恵) 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (60548767)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気分障害 / ストレス関連障害 / 復職支援 / リワークプログラム / 地域ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
1.気分障害患者・ストレス関連障害患者の復職プログラムの実施,効果測定 平成26年4月から平成29年3月までの間に,研究協力に対して同意の得られた15名に対し,Illness management and Recovery (IMR)を基本とする心理教育(病気や治療について,ストレスマネジメントや再発予防についての学習)に,集団認知行動療法,対人関係療法,社会リズム療法,アサーショントレーニング,アンガーマネジメントを追加した週2回の学習プログラムと,週5日の個別精神科作業療法を組み合わせた3ヵ月間のプログラムを3回(/年)実施した.15名中6名は職場訪問や上司、産業医との面談を実施し,職場の環境調整を行った.また,復職できた者に対しては,月1回の定期的な面談や,メールで相談を受け,就労継続のための援助を行った.離職者に対しては,3ヵ月のプログラム終了後も週5回の精神科作業療法でフォローし,再就職までの職業能力の維持・向上のためのトレーニングや対人関係トレーニングを実施した. 平成29年3月現在では,7名が復職,4名が再就職,求職中1名,離職1名,転医により転帰不明1名,復職予定が1名である.15名中11名(73.3%)が復職または再就職でき,11名の就労継続期間は,1年~2年が5名,半年~1年が2名,半年未満が4名であり,復職・再就職後の離職者はない.プログラム参加者15名は,初回時と比較して,認知機能と復職準備性の有意な改善が認められた.また復職や再就職に至らなかった4名は,復職や再就職に至った11名と比較し,プログラム終了時の社会適応度が低く,認知機能も低い傾向にあった. 2.関係機関・企業とのネットワークづくり 県内の就労支援関連施設(長野県障害者職業支援センター,就労移行支援事業所,県内リワーク実施医療機関)との会議を開催し,情報交換を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年9月~平成28年8月まで研究代表者が産休・育休取得のため,当初週2回実施していた学習プログラムを週1回に縮小して実施していたが,平成28年9月より復帰し,プログラムの再拡大を行い,新たに7名の新規参加者を確保することができた.また,平成26年より開始した本施設でのリワークプログラムが徐々に認知され始め,他施設からの紹介や,転医してプログラム参加を希望する参加者が増加してきており,今後は利用者の増加が予想される. また,平成29年3月現在で,復職・再就職率は70%以上と,他のリワークプログラム実施施設の成績とも遜色ない.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究期間(平成26年~平成29年)を1年延長することが出来たため(平成30年度まで),平成29年度には,他施設からの紹介患者や転医希望者を受け入れ,これまでと同様にプログラムの実施と効果測定を行う. 平成30年度には,復職・再就職率の算出,復職・再就職者と離職者との差の検討,大都市で行われているリワークプログラムと地方として行うプログラムの比較等を行い,5年間の成果をまとめる. また本研究開始当初は県内のリワークプログラム実施施設は当施設を含め2施設であったが,現在4施設に増えている.これらの施設や地域のハローワークや企業との情報交換会議などを実施し,ネットワークを構築する.
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Causes of Carryover |
平成28年8月まで,研究代表者が育児休業取得のため,当初週2回実施していた学習プログラムを週1回に縮小して研究協力者が行い,職場訪問などの職場調整会議の開催,地域の関連施設等とのネットワークづくり会議,成果発表などを行うことが出来なかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせて,職場調整会議の開催,地域資源ネットワークづくり会議の開催,学会での成果発表,論文作成,データ整理を手伝ってもらう研究補助者への人件費などに使用する.
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Research Products
(3 results)