2017 Fiscal Year Annual Research Report
A comperative study of Japan and Canada about deinstitutionalization process and community based support system for people with intellectual disabilities
Project/Area Number |
26780329
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
鈴木 良 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90615056)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 知的障害者 / カナダ / 日本 / 入所施設 / 脱施設化 / 地域生活支援 / 個別化給付 / 質的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、第一に、カナダにおける知的障害者の入所施設閉鎖過程についてのこれまでの研究成果を整理し、総合的なまとめを行った。具体的には、カナダにおけるフィールドワーク調査の結果に依拠して、カナダにおいて知的障害者の施設福祉サービスからの脱却を図るために、1)知的障害者本人の会や親の会がどのような働きかけを行い、行政がどのように政策や移行システムを実施し、脱施設化を正当化するためにどのような主張がなされたのか、2)個別化給付という形態は地域生活への移行支援の過程や制度化された仕組みにおいてどのように活用されてきたのか、ということを検討した。その結果、カナダの施設閉鎖運動においては知的障害者本人の会や親の会によるアドボカシー主導型の取り組みとして展開したことや、個別化給付という形態は重度知的障害者の地域移行支援において重要な役割を果たしてきたことを明らかにした。 第二に、日本の知的障害者の入所施設閉鎖過程についてのこれまでの研究成果を整理し、総合的なまとめを行った。具体的には、北海道における手稲このみ寮、美深のぞみ学園、芦別双葉学園、よしの園、リハビリクリーナース、白老愛泉園におけるフィールドワーク調査の結果を整理し、施設職員が施設閉鎖の取り組みを実施した背景要因と実態、家族や知的障害者本人の施設閉鎖に対する受け止め方について分析した。この結果、施設職員主導型で施設閉鎖の取り組みが進められてきたことや、自治体との関係や制度的制約ゆえにグループホームが一極集中化・大規模化している実態が明らかになった。その上で、カナダの上記の研究成果と比較しながら、日本の脱施設化政策及び移行支援の取り組みを進める上での方策について検討した。これらの研究成果については、障害学会、書籍などにおいて発表してきた。また、平成30年において、翻訳書及び単著を出版する予定である。
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Research Products
(4 results)