2015 Fiscal Year Research-status Report
災害復興支援活動に関わる若者の役割と可能性に関する考察~二つの大震災の経験から~
Project/Area Number |
26780331
|
Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
高橋 真央 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (50401609)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 東日本大震災 / 阪神淡路大震災 / 復興支援 / 大学生 / ボランティア / 社会貢献活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度もまた次の2点について主に調査、フィールドワークを行った。第1に関西地域で東日本大震災の復興支援活動を行っている学生達のボランティア活動に関しての参与観察、インタビュー調査である。また第2には東日本大震災で被災した地域(岩手県釜石市、大槌町)での学生ボランティアや被災した方々、受け入れNPO、学生ボランティアをサポートする神戸のNPO、神戸復興塾の方々へのインタビュー調査も行った。 本年度は、「学生ボランティア」をキーワードに調査を行った。かつての学生ボランティア(阪神淡路大震災世代)へのインタビュー調査があまりできなかったことは反省の余地があるが、現在活発に行っている学生ボランティアについては、参与観察をはじめ、様々な形でインタビューなどを取ることができた。 この研究を実施しながら、大学と学生、そしてボランティアというキーワードから現代社会の「社会貢献」や「地域貢献」に関する課題や可能性についても考えるきっかけを与えられたように思われる。 1995年当時の学生たちにおいては「大学ボランティアセンター」などは無く、常にパイオニア的存在の中で社会貢献や地域貢献の先駆者となって、2000年以降の学生ボランティアの活性化を牽引してきている。この10年間を振り返っても多くの社会起業家が輩出されているのはその背景も影響している。しかしながら、ある程度のシステムが整い、社会も学生ボランティアに一定の理解が整っている2011年以降にあって、学生達においては以前よりも多くの可能性が開けているとともに、阪神淡路大震災時代の学生ボランティアとは異なる大きな課題もはらんでいる。 現在の学生達のこの経験がどのように日本社会に還元され、次の学生たちに継承されていくのか? その点についてもフィールドワークやインタビュー調査から明確にしていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年間を通して、関西、神戸および東北(岩手県釜石市、大槌町)でのフィールドワークを実施し、そこで活動を行う大学生、また阪神淡路大震災時にボランティア活動を行った世代と共に復興支援活動を行い、その中で参与観察やインタビュー調査を実施することができた。また、スノーボール式に活動を行っている様々な方々を紹介していただき、調査対象者を広げることができた事は本研究にとって非常に貴重な財産となった。 本年度は、これらをまとめ論文や調査報告をしっかりと行っていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、最終年度ということもあり、下記の点を重点的に行いたい。 1.文献調査の分析から論文にまとめる。 1)阪神淡路大震災~東日本大震災~現在にかける学生達のボランティア活動について 2)1995年~2011年~2016年における大学生、日本社会を取り巻く社会貢献活動の支援体制について(特に大学生においては、ボランティアセンターの活性化やシステムの充実度について)。さらに、学生を取り巻く社会状況の変化(経済、政治、教育、災害など) 2.阪神淡路大震災、東日本大震災復興支援活動に関わった学生のインタビュー調査のまとめと分析→ 文献調査と合わせて見えてきたものについて 分析する。最終的には、学生ボランティア、若者の復興支援活動の課題と可能性についてまとめる
|
Causes of Carryover |
次年度に使用額が生じた理由として次の2点がある。第1に夏季の調査においては、学生の復興支援活動をサポート(引率)する立場でもあったことから、旅費等については所属先(甲南女子大学)より全額補助が出たこと。第2にインタビュー等で見積もっていた謝金であるが、学生や復興支援関係者に尋ねたため、ほぼ無償であったことから、謝金の計上が無かったことがあげられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の使用額としては、阪神淡路大震災時に学生ボランティアで活躍していた現在の社会起業家に数名インタビューする予定であるので、その謝金としてあてる予定である。また、最終年であるので、東北にも出かけるとともに、学生の復興支援活動として新たな可能性が広がった地域に同行する予定でもある。更に、学会発表なども積極的に行っていくべく、その諸経費にあてたいと考えている。
|
Research Products
(1 results)