2015 Fiscal Year Research-status Report
世帯収入が子どもの発達・学習環境とアウトカムに与える効果に関する日英比較研究
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26780335
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
卯月 由佳 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 主任研究官 (00718984)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / 世帯収入 / 社会政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、①世帯収入が子どものアウトカムに与える影響について先行研究レビューを行うこと、②データ分析課題を精緻化して分析に着手することの2つの課題に取り組み、研究を進めた。 ①について、世帯収入の因果的効果に関する知見、世帯収入が子どものアウトカムに影響を与えるメカニズムに関する知見、世帯収入が子どものアウトカムに影響を与えるタイミングに関する知見、一時的貧困と長期的貧困の影響に関する知見、経済的貧困と時間貧困の影響に関する知見をレビューした。 ②について、世帯収入と母親の就業状況が、親子で過ごす時間にどのような効果をもつか、中学3年生の親子を対象とした全国規模のデータを用いて検討した結果、以下の知見が得られた。世帯収入と母親の就業状況は、それぞれ収入制約と時間制約に関連する変数として着目した。分析の結果、平日に親子で1時間以上過ごす可能性は、等価世帯収入の上位25%に比べて下位25%で低いこと、母親が非就業の場合に比べて正規就業または非正規就業の場合に低いことが明らかとなった。ただし、母親が正規就業の世帯の世帯収入の効果と、母子世帯の世帯収入と母親就業の効果については、同様の結果が得られなかった。子どもの生活、人間関係、意識が親子で過ごす時間に与える効果も検討したが、親子で過ごす時間を減少させる子ども側の要因は性別以外にはなかなか見つからなかった。ここからも、社会経済的背景からもたらされる収入制約と時間制約が親子で過ごす時間に及ぼす影響の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イギリスの縦断調査データは既に入手済みであるが、厚生労働省から「21世紀出生児縦断調査」のデータを入手するための申請書の準備に必要な時間が取れず、日英比較の分析に着手できなかった。そのかわり、既に入手できていた「親と子の生活意識に関する調査」(内閣府)のデータの分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度になるべく早く「21世紀出生児縦断調査」のデータを入手し、分析に着手する。縦断調査データの特性を活かし、一時的貧困と長期的貧困の子どものアウトカムに及ぼす影響について分析し、日英比較を行う計画である。
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Causes of Carryover |
予定した日英比較分析まで進められなかったため、データ加工作業の研究補助者への謝金と、研究成果発表のための旅費を支出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ加工作業の研究補助者への謝金、論文の英文校閲謝金、研究成果発表を行うための旅費として使用する計画である。
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