2014 Fiscal Year Research-status Report
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26780410
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
佐藤 聡美 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 研究員 (50597804)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 認知機能 / 心理アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫の治療を受けた子どもの認知機能に関する研究は、重要であるにもかかわらず、国際的にも少ないことが文献研究によって明らかとなった。その理由は、発症例数、研究連携、臨床心理士の医学的知識、の3つが考えられる。 第一に、骨肉腫の発症例数が少ないことが挙げられる。骨肉腫は日本でも年間に数十例の発症と見られており、なかなかまとまった数での研究が難しいことが指摘される。 第二に、発症年齢が思春期と青年期に多い点が、研究を困難にしていると考えられる。つまり、発症年齢を診療科に当てはめると、患者は小児科と内科に分けられる。彼らについて研究する場合には、少なくとも両科と整形外科の協力が必須のため、研究の遂行が難しくなる。 最後に、臨床心理士の骨肉腫に関する知識が不十分である場合が指摘される。骨肉腫の治療で用いられるメソトレキセート(MTX)が認知機能に影響を及ぼすかもしれないという仮説の重要性が理解されないからである。そうすると、認知機能の検査が行われても、妥当性の高い解釈が行われないかもしれない。 以上の3点を克服するために、小児科と整形外科が研究連携を結び、骨肉腫の治療を受けた子どもの認知機能を検査することに理解のある施設(慶應義塾大学医学部小児科)において、研究を実施することを計画した。研究実施施設の医師と研究計画書の修正を重ね、現在、研究計画を倫理審査に申請している段階である。倫理審査において承認され次第、患者登録を開始し、認知機能に関する検査を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ただいま倫理審査に申請中であるため、承認が下り次第、骨肉腫の治療を受けた子どもたちへの検査を開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
骨肉腫の治療を受けた子どもの認知機能の検査を行い、その推移を追っていく。骨肉腫の治療は人工関節などの機能や見た目による障害や障壁について研究されてきた。しかし、認知機能においても脆弱性が見られるならば、治療早期からそれらに対応する教育支援を要請したり、教育の方略を子どもに教えることも可能になる。もし認知機能に脆弱性が見られない場合は、その旨を子どもと家族に伝え、治療に対する心配や不安を軽減することができるようになる。以上、本研究で行う認知機能の検査は、退院後の教育環境を整えるための手段であり、データに基づいた病弱児の教育支援を組み立てるのが目的である。
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