2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development and acceptance of "21st Century Skills" in Education in Multicultural Society
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26780442
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
下村 智子 三重大学, 教養教育機構, 准教授 (80557984)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学校教育 / カリキュラム / 資質・能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、学校教育における資質・能力の育成に関する教育政策文書、とりわけ、教育課程における「21世紀型スキル」が導入されてきた過程とそのカリキュラム上の位置づけについて、これまで収集した資料を基に、分析のまとめを行った。また、先住民教育に対する影響や関連について明らかにするため、引き続き文献収集を行いながら、現状の分析を行った。 その結果、特に後者の課題については、先住民教育政策における21世紀スキルを標榜した資質能力に関する議論については、収集した資料の限りにおいて、明らかにすることができなかった。先住民をめぐっては、歴史や文化、言語(母語)の継承、衛生問題や環境問題などの生活環境の向上、アルコールや薬物依存、自殺等に関する問題、成人病、乳幼児の高い死亡率などの健康上の課題など、解決されるべき現状や解決や改善が急がれる深刻な課題が多く存在していること、教育の面においては、低い到達度などの学力に関する問題、高い中途退学者率等、基礎学力の向上や卒業率の向上が主たる課題とされていることなど、非先住民にはみられない多くの課題が存在している。そのような現状において、「コンピテンシー」という観点からは、これまで、先住民の公衆衛生という観点から議論されてきたことはあるものの、本課題において中心的に取り上げてきた「21世紀スキル」の観点からは、政策としてまとめられるほどの議論が進んでいない現状が明らかとなった。 以上のことから、先住民教育という観点に基づいた資質・能力の育成については、「21世紀型スキル」にみられるジェネリック・スキルの育成という観点からではなく、歴史的・文化的・社会的背景をふまえた分析が必要であるということが指摘できた。
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