2016 Fiscal Year Annual Research Report
History of Community and Adult Education in Old Coal Mining Area in Northern Kyushu
Project/Area Number |
26780447
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
農中 至 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 特任講師 (50631892)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 北部九州 / 産炭地 / 社会教育 / 炭鉱 / 産業 / 地域 / 筑豊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主に北部九州地方産炭地、福岡県筑豊地域における地域社会教育の歴史的推移に焦点をあて、実証的な研究を進めた。その際、当該地域の産業特性、すなわち炭鉱がどのように地域住民の生活に影響を与え、地域社会教育の成立といかなる関係を有していたのかということを検討した。 地域社会教育の戦後史において、地域産業との関係が問われる場合、主要には「農業」との関係が重視されてきたといえる。本研究で注目したように「農業」以外の産業特性、炭鉱業などの存在はこれまで十分な注目が集まることはなかった。地域社会教育の戦後史では、地域社会教育と「農業」の関係が問われてきたといってよい。その後、都市化の影響もあり、都市部における地域社会教育の発展過程に注目が集まる時期を迎えたものの、「都市」、「農村」を軸に地域社会教育の戦後史を理解する方法論は長らく定着してきたといえる。本研究では、地域社会教育の戦後史理解においては「産業」特性の視点をくぐらせることが不可欠であること、とりわけ産炭地の戦後に注目する場合には、この視点が不可欠であることを示してきたといえる。 最終年度は、①戦後産炭地・地域社会教育の成り立ち(とりわけ施設・設備)に、炭鉱産業が深くかかわっていたと考えられることを示した。また、②炭鉱産業撤退後には、地域によって住民有志による地域の共同性回復に向けた試み(上野英信・「筑豊文庫」)が展開したことを明らかにした。以上の成果を踏まえ、戦後地域社会教育史研究の進展においては、産業と社会教育の関係史という視点が必要であり、さらに地域社会教育の戦後史研究において仮説的な方法概念の探求が求められることについて論じた。
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