2014 Fiscal Year Research-status Report
1970~80年代の戦後義務教育財政システム変容過程に関する研究
Project/Area Number |
26780458
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Research Institution | Japan Professional School of Education |
Principal Investigator |
植竹 丘 日本教育大学院大学, 学校教育研究科, 講師 (90635244)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育財政 / 臨時教育審議会 / 義務教育費国庫負担金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1960年代前半に確立し、1970年代に「安定・拡大期」に入った後,1980年代中盤以降縮小期に入った「戦後義務教育財政システム」が、どのように拡大し,なぜ,どのように改革の対象となり,実際の改革が行われることになったのかを明らかにする.そのために,公文書等一時史料に基づいた実証的調査研究を行うものである. 初年度である平成26年度は,①先行研究の整理,②一次史料の収集,③回顧録等の収集,④マクロなデータの収集,とそれぞれについての整理を行う予定であった. ①については,中曽根内閣期に設置された臨時教育審議会についての先行研究,この時期の財政政策に関する先行研究の網羅的な収集は行うことができたものの,中曽根内閣の政策全般に関する先行研究,補助金削減を提起した臨時行政調査会に関する先行研究については不充分である. ②については,国立国会図書館及び同憲政資料室所蔵史料の,臨時教育審議会関係者の旧蔵史料,文教族議員の旧蔵史料の収集を行った.これについては膨大な史料が存在することが予想されるため,平成27年度も継続して行う予定である. ③については,本申請研究に関わった国会議員,財務省・自治省・文部省の官僚の回顧録,追悼集等を収集する予定であったが,当時の内閣総理大臣である中曽根康弘の回顧録や文部省関係のものに偏っており、今後も収集を継続する. このほか習作として,関係学会において報告を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は,初年度であることもあって,本研究で必要となる先行研究の収集及び一次史料,回顧録等の収集を行なった.「研究実績の概要」の項でも述べたように,教育界外部の先行研究,国立国会図書館及び同憲政資料室所蔵史料,回顧録については不充分である.整理と併行して,新規史料の収集が必要となる. また,公表された業績としては,学会発表1件と,書籍の分担執筆1件となった.これらについては継続するとともに,件数を増やしていく必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,平成26年度中に収集した史料を,研究上の使用に耐えるよう整理すると同時に,一次史料の収集を継続する予定である. 「現在までの達成度」の項で述べたように,史料収集が当初の予定通りには進んでいない現状に鑑み,文部省・諸政党の政策に関する公式文書,衆参両院の本会議や文教関係委員会,臨時教育審議会等政府関係審議会の議事録等に関しては,国立国会図書館及び同憲政資料室,国立公文書館,国立教育政策研究所教育図書室,文部科学省図書室,日本教職員組合図書室,近代日本史料研究会(KINS)等で収集する予定である.本申請研究は財政史研究の側面も持っているため,財務省財務総合政策研究所財政史室所蔵史料も参照する予定である. 並行して,平成26年度に収集した史料をもとに論文を執筆し,関係学会の機関誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
本研究の要となる史料収集を,書籍を中心に行ったため,データ入力や整理等、人件費・謝金の発生する作業を行わなかった.また,東京を中心に史料収集を行うことで,交通費の支出を最小限に抑えたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度以降は,一時史料の収集の機会を増やしていく必要があるため,これに伴い,人件費・謝金の発生する作業が増えることが予想される. 上掲以外の繰越金については,史料収集に充てたいと考えている.
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