2016 Fiscal Year Research-status Report
八重山島嶼沿岸域における生物学的岩盤風化機構の解明と理論シミュレーション研究
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26790079
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松原 仁 琉球大学, 工学部, 准教授 (50414537)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 岩盤風化 / 微生物風化 / 数理モデル / 八重山層群 / 琉球層群 |
Outline of Annual Research Achievements |
八重山諸島西表島沿岸部の琉球層群と八重山層群の境界に見られる特異的な岩盤風化現象について,フィールド調査を実施し,その風化に岩盤中の微生物が関わっている可能性を検討するために,各種試験(原位置によるによる非破壊試験,走査型電子顕微鏡による微細構造分析,X線粉末回折による成分分析等)を実施した。その結果,境界部で柱状に残存している不安定岩盤は,砂質岩盤の空隙が石灰質固着物によって強化されていることを見出すことができた。ただし,この固着物が化学反応起源か微生物反応起源かを判別するまでには至っていない。同時に,沖縄島南部の琉球層群露頭に大量の微生物マットが形成されていることを発見した。この露頭のサンプルを走査型電子顕微鏡によって観察したところ,管状および粒状に風化する微細構造や,石灰岩がフィラメント状に生成している様子を捉えることができた。一方,岩石風化現象の数理モデル化に関しては,前年度に構築した微生物学的風化作用モデルを発展させ,移流反応拡散系モデル(3次元モデル)を新たに構築することができた。これにより,地下水流れを考慮した岩石の風化・生成シミュレーションが可能となる。これらの成果については,今後も積極的に発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
八重山諸島西表島に見られる特異な岩盤風化現象の詳細調査や,微生物活動によるものと考えられる岩盤風化・生成現象の発見など,本研究で予定していたフィールド調査や実験を順調に進めることができている。これらの結果については,国内外の学術誌や学術集会において発表できている。また,数理モデルについても,前年度に開発した微生物学的風化作用モデルの差分シミュレータへの実装に加え,新たに移流反応拡散系モデル(3次元モデル)の構築にも成功している。以上のことから,本研究達成のために必要な知見やデータは順調に蓄積できていると考えている。なお,昨年度から引き続き実施している文献調査や他の研究者との会合を通じ,今後もより集中的な研究が必要であることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画書に沿い,八重山層群,琉球層群における生物学的風化に関するフィールド調査,実験,数理モデルの構築を進める。数理モデルに関しては,岩盤の微生物学的・化学的・物理学的風化現象のマルチフィジックスモデルの構築を念頭に入れながら進めていくことを予定している。また,得られた成果は,国内外の学術誌や学術講演会において積極的に発表する。
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Research Products
(8 results)