2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蒲谷 祐一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (70551703)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 双曲幾何学 / クライン群 / 擬フックス群 / 指標多様体 / 写像類群 / 複素射影構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲面の基本群のPSL(2,C)表現(の共役類)の空間は指標多様体と呼ばれる。その中で離散忠実表現のなす部分集合は曲面とホモトピー同値な3次元双曲多様体の変形空間とみなせる。その中で擬フックス表現のなす部分集合は稠密な開集合になっている事が知られている。離散忠実表現や擬フックス表現のなす部分集合は写像類群の作用で不変な集合で指標多様体の中に非常に複雑に入っている事が知られている。当該年度は指標多様体の1次元のスライスの中での擬フックス表現の形に関する結果を得た。具体的にはこのスライスの中での擬フックス表現のなす部分集合の連結成分を複素射影空間の言葉で特徴付けた。これにより1点穴あきトーラスの場合の小森・山下の定理の別証明,及び精密化を得た。元の証明は1点穴あきトーラスの特殊性を用いる物で各連結成分の幾何学的な意味はよく分からない物であったが,本研究でその意味が明確になった。結果として一般の曲面でも成り立つ形に定理を拡張できた。この結果に関する論文を執筆し,国内および海外(韓国,シンガポール)で口頭発表を行った。そのうちスライドで発表を行った物は私のwebページで公開している。またこの結果から擬フックス群表現のなす部分集合の連結成分がbumpingと呼ばれる現象と密接に関わる事が分かってきたので国内の代表的な研究者を招きbumpingに関する研究集会を開催した。その他双曲幾何学,3次元多様体論,表現の空間に関連した研究集会に多数参加し,新たな情報を収集し国内外の研究者と議論を行った。そのうち東京で行われた研究集会ではポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は結果がまとまったので論文の執筆と研究発表を中心に行った。当初予定していたよりもコンピュータプログラムの拡張,特に表現の体積の計算をする部分の作成があまり進まなかった。一方でこれまでに出来ているプログラムに多少の拡張を行う事で大量の図を描いた。これらの図を観察する事で理論的な背景が明らかになり成果につながった。当初から想定していたコンピュータの援用が功を奏したと言える。またこれらの図は研究発表の際に非常に役立った。専門外の人にこの分野を説明するのに役立っただけでなく,専門家からも理論が具体的に可視化できた事で好評だった。多くの講演の依頼も頂いた事も考慮し当該年度の進捗状況は良かったと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに線型スライス内の擬フックス表現の連結成分に関する小森・山下の定理の精密化を得たが,彼らの論文にある予想が未解決である。本研究により予想の幾何学的意味,とくにbumpingと呼ばれるクライン群論で注目を集める現象との関連性が明確になったと思う。予想の重要性はこれまで以上に高まったと考えている。今後はこの予想の解決を第一目標にしたい。またあまり進んでない表現の体積の計算の部分のプログラムの開発を進めていきたい。
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Remarks |
(1)は私のwebページ。掲載論文,プレプリント,研究発表へのリンク有り。(2)は東京大学で行われた国際研究集会MSJ-SIでのポスター発表の補遺。(3)は開催した研究集会のwebページ。
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Research Products
(11 results)