2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26800055
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松澤 泰道 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (60645620)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己共役作用素 / Weyl-von Neumann同値 / ユニタリ群 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,Weyl-von Neumann同値関係について研究を進めた.可分な無限次元ヒルベルト空間上の自己共役作用素を2つ考え,これらがユニタリ共役とコンパクト作用素による摂動で移りあえるとき,2つの自己共役作用素はWeyl-von Neumann同値であるという.Weylとvon Neumannによって示されたように,自己共役作用素が有界であれば,これらがWeyl-von Neumann同値であるための必要かつ十分な条件は,それらの本質的スぺクトルが一致することである.従って本質的スペクトルはこの分類問題における完全不変量になっている.一方で,自己共役作用素が有界とは限らない場合には,本質的スペクトルは完全不変量にはなっておらず,可算構造による分類も不可能であることを昨年度の研究で示した.本年度は,実数体の閉集合Mを1つ固定したとき,本質的スペクトルがMであるようなどんな自己共役作用素もWeyl-von Neumann同値になるためのMの特徴づけについて研究した.無限遠でMに大きな穴が開いていないことが得られた特徴づけである.研究成果は論文としてまとめ,現在投稿中である. また,Polish群がいつ有限von Neumann環のユニタリ群に埋め込めるかを問う,ポパの埋め込み問題を,反例を構成することによって解決した.同時に離散群の一様有界表現がユニタリ表現に相似であるための新たな必要十分条件を得た. 更に,Cスター環のユニタリ群にノルム位相を入れた位相群がいつヒルベルト空間上のユニタリ作用素全体の作るユニタリ群(位相は強作用素位相を入れる)に埋め込めるか考察し,ほとんど埋め込めないことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Weyl-von Neumannの定理が成り立つような本質的スペクトルの特徴づけを与えられたため.この成果は論文としてまとめ,投稿中である.また,ポパの埋め込み問題を離散群の一様有界表現の相似問題と関連させて解決したため.更に,Cスター環のユニタリ群がいつヒルベルト空間上のユニタリ作用素全体の作る群に埋め込めるか,という問題に対しても成果を得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べたCスター環のユニタリ群が,ヒルベルト空間上のユニタリ作用素全体が作る群に埋め込めるかどうかの研究を完成させるとともに,他の無限次元ユニタリ群についても同様の考察を行う.更に,超有限II_1型因子環のユニタリ群の離散部分群が従順群かどうかを問う問題にも挑戦したい.群の無限次元性からくる難しさがあるため,それを回避するために何らかのアイデアが必要である.
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