2015 Fiscal Year Research-status Report
グラフのErdos-Posa propertyと次数条件の相互関係に関する研究
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26800083
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千葉 周也 熊本大学, 自然科学研究科, 講師 (80579764)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 2-因子 / 閉路による分割 / 点素な閉路 / 最小次数条件 / 次数和条件 / 禁止部分グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.固定したグラフが点素に存在するための次数条件について (1)1997年にBrandt, Chen, Faudree, Gould, Lesniakにより、「グラフGの位数が4k以上で非隣接2頂点次数和の最小値が|V(G)|以上ならば、Gは成分数kの2-因子を含む(Gはk個の点素な閉路に分割できる)」ということが証明された。本研究では、二部グラフにおける完全マッチングを通る2-因子に焦点を当て、以下を証明した:「位数が十分に大きい均衡的二部グラフGの互いに異なる部集合に属す2頂点次数和の最小値が(|V(G)|/2)+2以上ならば,Gの任意の完全マッチングMに対して,GはMの辺を全て通るような各閉路が``長い''成分数kの2-因子を含む。」さらに、Brandtらの定理との関係性について考察することで、上記がBrandtらの定理の最小次数版を導くことを証明し、一般のグラフと二部グラフとの間の関係性を解明することに成功した。 (2)26年度の研究実績として報告した “Stiebitzの定理(JGT, 1996)、Kanekoの定理(JGT, 1998)の次数和型” に関する論文を国際会議EuroComb2015に投稿し、採択された。また、上記の会議論文がElectr. Notes Discrete Math.(VOL.49, 2015, pp.359-366)に掲載された。
2.次数条件以外の条件による特定の部分構造の存在性について “2-因子”と同様に、ハミルトン閉路を緩和した構造の一つである “辺支配閉路” に焦点を当て、その存在性を保証するための禁止部分グラフ条件を与えた。特に、2-因子の場合とは異なり、“辺支配閉路” の存在性に対する最良な禁止部分グラフのペアの中にはclawを含まないものが存在することが分かり、禁止部分グラフの観点で2-因子との差を明らかにすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2つから本研究課題の目標達成に向けて順調に研究が進んでいると考えられる。
1.平成26年度と27年度の研究成果を合わせることで、27年度の研究計画である「Erdos-Posa property を満たすグラフ、または、頂点数に依存しない次数条件によってその存在性を保証できるグラフの特徴の解析」を達成することができた。実際、これまでの結果によって、対象としている特定の部分構造が、与えられたグラフの頂点を分割するかどうかで次数条件に差が生じることが分かる。また、次数条件のみならず、他の条件においてもある種の差が生じることが解明できた。さらに、27年度の研究成果によって、“二部グラフにおける点素な部分グラフの存在性” が “一般のグラフにおける点素な部分グラフの存在性” へと繋がることが分かる。つまり、この結果を利用すると、二部グラフというクラスに対して与えられた問題を考えることで、それらを一般のグラフの場合へと拡張できることが分かるので、本研究課題を解決するための有効的な手段の一つになり得る。
2.平成26年度研究実施状況報告書における「今後の研究の推進方策等」に記載した通り、平成27年度中に “Stiebitzの定理(Journal of Graph Theory, 1996)並びにKanekoの定理(Journal of Graph Theory, 1998)の次数和型” に関する結果を論文としてまとめ挙げ、国際会議に採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究計画である「Erdos-Posa property を満たすグラフ、または、頂点数に依存しない次数条件によってその存在性を保証できるグラフの特徴の解析」を引き続き行うとともに、これまでに得られた結果から見出だされる新たな方向性から研究を進めていく予定である。特に、二部グラフに関する研究成果を論文としてまとめ挙げ、学術雑誌や国際会議に投稿することで自身の研究成果を世に発信し、二部グラフにおける成分数を指定した2-因子に関する研究をさらに詳しく調べる予定である。また、27年度と同様に、次数条件以外の条件について考察することで、“次数条件と他の条件との差” から新たな研究の方向性を探っていく予定である。さらに、これまで同様、国内・国際会議、セミナー等にも積極的に参加し、最新の研究状況の把握と、他研究者との情報交換を行うことで、研究の問題点・研究方針について議論していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初参加することを計画していた国内会議よりも、本研究の成果を発信する上でより注目度の高い別の国際会議(日本開催)に参加したため、その差額の一部が当該助成金として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度と同様に、平成27年度の研究を順調に進めることができた大きな理由の一つが「学会発表および研究打ち合わせによる他研究者との情報交換」であるので、当該助成金を平成28年度の国内旅費の一部として利用することで本研究における目標達成に繋げていく予定である。
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[Presentation] On disjoint subgraphs with high degree sums2015
Author(s)
Shuya Chiba
Organizer
The Second Japan-Sino Symposium on Graph Theory, Combinatorics and Their Applications
Place of Presentation
Tokyo University of Science, Morito Memorial Hall (Tokyo, Japan)
Year and Date
2015-11-02 – 2015-11-04
Int'l Joint Research / Invited
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