2016 Fiscal Year Research-status Report
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26800151
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
長尾 桂子 新居浜工業高等専門学校, 数理科, 講師 (90707986)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 直接検出実験 / 暗黒物質の速度分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、暗黒物質の「方向感度をもつ直接検出実験」を用いて、暗黒物質の速度分布モデルの判別を行うことができるかを調べた。検出器の分解能によって、(1)角度情報だけを使った解析、(2)角度情報とエネルギー情報の両方を使った解析 の2つの場合がありうる。この2つの場合を想定してシミュレーションや解析を行い、それぞれの場合に速度分布モデルを判別するために実際の実験で必要な信号数や適切なエネルギー閾値等の条件を明らかにした。 特に(2)の場合にシミュレーションで調べたところ、速度分布モデルによる角度分布の違いが非常に微細であり、角度分布だけでは判別が難しいことがわかった。そのため統計的手法を用いて、より明確に速度分布の違いを調べる方針に切り替えた。このような手法の変更に伴い、数値計算を得意とする研究協力者の助力を得ることができた。その結果、角度分布のカイ2乗検定を行うことにより、速度分布に含まれる非対称成分に対して制限を与えるために実験で必要な条件を明らかにすることができた。 また当初は2~3種類の速度分布モデルを判別することを検討していたが、速度分布中の非等方的成分を自由なパラメータと考え連続的にすることで、これまでより一般的に速度分布の違いを調べた。 当該年度で、「方向感度をもつ直接検出実験」を用いた速度分布の判別について主要な結果を得ることができたので、現在は研究成果を論文にまとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は計画していなかった統計的手法による分布モデルの判別を行い、それがこれまでの研究成果から非常に有効であると判明したため、より正確に暗黒物質の速度分布モデルの判別が可能になったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
暗黒物質の速度分布判別については、当該年度に試みたものより有効と思われる統計的な解析法を発見したため、それを用いて速度分布モデルの判別精度を上げることができるかを調べる。 また、速度分布の判別と併行して、暗黒物質粒子が非弾性であった場合に、その弾性パラメータ測定を「方向感度をもつ直接検出実験」を用いて行う手法についても調べる。その結果を、速度分布に対する判別とともに論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度後半に講演を行った国際会議への旅費として適切と考えられる金額を残しておいたが、事務手続き上検討した結果、その国際会議へは別の予算を利用して出席した。その金額分を次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議において研究成果を発表するために使用する予定である。
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Research Products
(4 results)