2017 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study of direct dark matter detection with directionality
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26800151
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
長尾 桂子 新居浜工業高等専門学校, 数理科, 講師 (90707986)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 直接検出実験 / 方向感度 / ダークマター |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は本研究の最終年度にあたるため、方向感度をもつ直接検出実験における暗黒物質の非等方性検出可能性の総括を行った。暗黒物質のN体シミュレーションからは、暗黒物質の速度分布に30%程度の非等方性がある可能性が指摘されている。本研究では、このような非等方性の、方向感度をもつ直接検出実験による判別可能性を明らかにした。方向感度をもつ直接検出実験での検出をモンテカルロ・シミュレーションし、速度分布の非等方性による検出結果の変化を調べた。検出結果としては反跳エネルギーと散乱角の2つの物理量が得られるため、それらの情報を用いて可能な2種類の解析(エネルギーー角度分布・角度ヒストグラム)を行って、非等方性による違いを判別するために必要な条件を明らかにした。その結果、エネルギーー角度分布においても角度ヒストグラムにおいても、N体シミュレーションから示唆される非等方性が実現していた場合に完全等方な可能性を排除するためには、O(1000)程度のイベント数が必要であることを示した。その結果は、方向感度をもつ直接検出実験で用いる標的原子核の種類にも依存しており、一般に重い原子核を用いる方が判別のためにより多くのイベント数を必要とする傾向があることを明らかにした。また、判別に必要な条件は、検出器のエネルギー閾値を最適化することで緩和できることがわかったため、 特定の暗黒物質質量の場合にエネルギー閾値の最適化を行った。 本研究結果は論文としてまとめ、現在は雑誌投稿中である。また、当該年度内では国際会議4回(うち招待講演1回)、国内学会・研究会2回で講演を行い発表した。また、一般市民講演を2回行い、研究成果の社会還元も行った。
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