2014 Fiscal Year Research-status Report
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26810021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 隆行 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20705446)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 芳香族性 / 多環芳香族炭化水素 / 分子ねじれ / 発光特性 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピロールとオルトフェニレンを組み込んだ、新規マクロサイクルの合成をおこない、三量体、四量体に加えて六量体の合成にも成功した。これらの構造はすべてX線結晶構造解析により決定し、ねじれた構造を有することが明らかとなった。また、そのようなねじれ構造に起因して、溶液中では大きなストークスシフトが見られ、固体中では構造の固定化による凝集発光性を明らかにした。 四量体では、酸化条件下での分子内縮環反応に成功し、世界で初めてテトラベンゾテトラアザ[8]サーキュレンの合成を達成した。X線結晶構造解析の結果、分子は平面構造を有しており、鋭い吸収と高い発光特性を有することがわかった。このような性質は、COT骨格を有する分子としては珍しく、反芳香族性ではなくむしろ周辺部の芳香族ユニットの性質を大きく反映しているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時に提案した目標分子のうち1つはすでに合成を達成し、X線結晶構造解析にも成功している。当初予想していた結果と異なり、発光特性などの特異な物性を示すことが明らかとなった。 もう一つの目標分子の前駆体であるオルトフェニレン架橋ピロール三量体はすでに100mg以上のスケールで合成に成功しており、ねじれ構造を制御することによる物性変化を現在検討している。いずれも当初の計画以上に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今までどおり、合成と物性解明を目指して研究を続ける。目的分子が得られているので、その合成法をより高効率にするために条件最適化をおこない、またその物性解明や応用研究にも取り組んでいく。申請時点よりも多くの知見が得られているので、その知見をもとにより巨大な湾曲芳香族化合物の合成にも取り組む。
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Research Products
(15 results)