2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26810021
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 隆行 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20705446)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 多環芳香族炭化水素 / 縮環反応 / ピロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的化合物の1つであった、テトラベンゾテトラアザサーキュレンの合成を達成した。この分子は非常に平面性が高く、極性溶媒中でピロールのNHと溶媒分子の水素結合ネットワークをもち、様々なパッキング構造で結晶化することがわかった。特徴的な吸収スペクトル、高い発光特性を示し、共役八員環構造をもつにもかかわらず芳香族性の化合物であることがわかった。周辺部修飾反応も検討し、窒素上のアルキル置換によって平面性と光物性が異なることがわかった。窒素上の芳香環の導入を検討し、立体的要因のためにベンゼン環の導入がかなり困難であることがわかった。 もう一つの目的化合物であるトリベンゾトリアザスマネンの前駆体である環状オリゴピロールを合成し、置換基修飾に伴う環歪みと光物性の関係について明らかにした。これらの縮環反応を検討し、酸化的縮環反応によって特異な付加生成物が得られることを明らかにした。還元的縮環反応では、部分的に縮環した生成物が得られ、目的物の歪みの大きさが伺える結果となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的化合物の1つであるテトラベンゾテトラアザサーキュレンの合成を達成し、それをAngewandte Chemie International Editionに発表した。Reviewerから高い評価を得て、"Hot Paper"に選出された。窒素上置換反応の開発まで検討が進んでおり、湾曲化合物への変換に向けて順調である。平面性が高い化合物であるにもかかわらず極性溶媒への溶解性が高いため、これまでの多環芳香族炭化水素類と異なった展開に期待ができる。 トリベンゾトリアザスマネンの開発に向けて検討を進めており、その過程で多くの興味深い現象を見いだすことができた。それらの成果を纏め、現在論文投稿中である。合成は当初計画以上に進んでおり、予想外の光物性を見いだすことができた。このような性質をより発展させるため、置換反応を中心に合成化学を展開している。目的物の合成にむけて縮環反応も検討しており、予想外の化合物が得られている。得られたX線結晶構造をもとに、合成法の改良をおこなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
テトラベンゾテトラアザサーキュレンは、同様の合成法を用いて類縁体開発をおこなっている。より一般性を高めることで、テーラーメイドな化合物の合成が可能になる。窒素上アリール化体を合成し、縮環反応により高湾曲ボウル型化合物の開発を目指す。窒素上のアルキル化体は有機溶媒への溶解性を適切に変調することができるため、パッキングを制御し、固体物性の発現を目指して凝集発光などの物性開発を目指す。 トリベンゾトリアザスマネンの合成にむけ、種々の縮環反応を検討する。酸化、還元的手法を組み合わせることと、窒素上の置換反応によりあらかじめ分子内歪みを誘起することで高歪化合物へ導く。理論計算を用いることで反応遷移状態についても検討する予定である。
|
-
-
[Journal Article] Multifaceted [36]octaphyrin (1.1.1.1.1.1.1.1): deprotonationinduced switching among nonaromatic, Möbius aromatic, and Hückel antiaromatic species2016
Author(s)
Won-Young Cha, Takanori Soya, Takayuki Tanaka, Hirotaka Mori, Yongseok Hong, Sangsu Lee, Kyu Hyung Park, Atsuhiro Osuka, and Dongho Kim
-
Journal Title
Chemical Communications
Volume: N/A
Pages: N/A
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
[Journal Article] Triply-linked Corrole Dimers2016
Author(s)
Shota Ooi, Takayuki Tanaka, Kyu Hyung Park, Dongho Kim, and Atsuhiro Osuka
-
Journal Title
Angewandte Chemie International Edition
Volume: 55
Pages: N/A
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-